娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
いや、英雄殴るなよ、と思いつつそんな彼女といるのが楽しくなった。


使う時間もなかった褒賞金はアホみたいにあったので、彼女が売り上げる金額の2倍を毎日払うことにした。

自分でも不思議だったが、これで少なくとも俺が王都にいるうちは彼女が他の客を取らないと思うと少し嬉しく感じた。


“まさかこれ、嫉妬ってやつなのか···?”


俺が?なんて思いつつモヤモヤするのは仕方ない。
そして金で解決できるならそれに越したことはない。

それなのに彼女はそのお金に気が引けたようで·····


「子守唄を歌うのはどうかしら!?」

そんなサービス、本末転倒過ぎるだろ!と全力でツッコミつつ、心の底から可笑しいと笑いが込み上げるのを感じた。


美味しいもの、は寝る前にリリスと食べるのもいいかと思い提案しただけだったのだが、その提案が思いもよらない結果になる。

リリスと初めて昼間の、しかも娼館の外で会う事になったのだ。



「え、それデートじゃん、もうただのデートじゃん···」

思わず呟きつつ、柄にもなく浮かれていたことは団長にだけは隠し通したいところだが、リリスとの時間はとても楽しかった。
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