娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
それは魔法の力ではなく、彼女から与えられたやすらぎのお陰だと感じた。





ただ寝るだけだともったいないと感じた。
寝る前に少しリリスと話すのもいいんじゃないか。
リリスと話していれば、リリスの魔法がなくてもまた眠れるかもしれないし···と、そう思ったからこその提案のつもりだったのだが。


結果刺激されたのは、睡眠という欲求ではなく、欲しいと望む本能だった。


ーー可愛い、可愛い。
俺の一言一言に、動作の一つ一つに反応し顔を赤らめ本人は隠してるつもりなのに全然隠せてないそんなリリスが堪らなくて。


“俺で、じゃなくて、俺が····か”

それが本心でなくても構わないと思うくらい浮かれていた。
もちろん魔法耐性は元々あったし、更に魔法耐性向上の魔法を重ねがけして寝ない自信があったのだが。


「·······だいすき、シャル」


確かにそう耳に飛び込み慌てて顔を上げる。
無意識に口に出したのだろうか、上気した頬は相変わらずで···


“俺も”と思った。
出会ってからの時間なんて関係ないと思った。
伝えなくちゃと思った。
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