娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
有り難いことに私に会いに来てくれる客もいた。
もちろん全てのお客様が歓迎出来る訳もなく、こっそりお尻や胸を触ろうとする客などはまだ可愛い方で偶然を装い皆の前で服を引っ張り脱がそうとするなど明らかに行き過ぎたセクハラ目的の客もいたのだが。


「止めた方がいいよ、旦那。その娘のパトロンはなんとこの国の英雄様だからねぇ?リリスが泣きでもしたら雷が落ちるんじゃないかねぇ」
「ちょっ、パトロンとかいう言い方止めてくれるかしら!?あと雷って何っ!?」
「ひぃっ!?」


なんて女将が軽口とも本気とも取れないような牽制をし撃退してくれた。


「シャルの評判が悪くなっちゃうから」と一度女将に抗議した事もあるのだが。

「自分でなんとかするのもいいけど、牽制に使ってくれってのは英雄様の希望でもあるからねぇ···」

なんて驚きの事実を教えてくれた。





私には神がいなかった。
なるようになるし、なるようにしかならない、という考えだった。

そんな私が仕事終わり、必ず月に祈ることを覚えた。

やはり神がいるとは思えなかったが、何かに願う事しか自分に出来なかったからだ。

< 71 / 308 >

この作品をシェア

pagetop