娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
今日も現状維持だったことに安心し、女将に新聞を返そうとした時だった。


「リリス!」
「?」

開店前のドアを乱暴に開け飛び込んで来たのは同じ娼館の同僚であるメイだった。

「どうしたの?今日デートとか言ってなかった?」
「そんなことどうでもいいのよ!いや、良くないけど、それよりもこれっ!号外!!」

デートだと朝から気合いを入れて出たはずのメイがとんぼ返りしてきたのはその“号外”を渡すためのようだった。


ドクン、と心臓がうるさいくらいに鳴る。
号外が出たと言うことは、何かしらの出来事があったと言うことで····


ごくりと生唾を飲み、震える手でその号外を開くと····


「凱旋パレードの···お知らせ·····」


一時危ないとされた地域の奪還に成功したというその記事に思わず足の力が抜けへたり込む。


「シャルが帰ってくる·····?」

無事だった。帰ってきた。
ーーーいつ来てくれるかはわからないけど、それでも。

「良かっ、た······っ!」

思わず潤みそうになる涙を懸命にこらえ、その号外を大事に抱き締める。

「良かったね、リリス」
「ありがと、メイ」
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