娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
もちろん、「戦争中だが我が国はこれだけのパレードやパーティーを行えるだけの余力がある」という対外的な政治的意味もあるのだが。


“もしシャルが来てくれるとしたら、最短でもあと5日はかかるわよね”
せっかくだから私も何かお祝いしたい。
でも5日という予想はあくまでも“最短”の予想であって、5日後に来てくれる訳ではない。


「食べ物···はうっかり腐っちゃったら嫌だし、何かあるかしら···」

なんて考えながら娼館に帰宅すると。



「おかえり、早かったね」

開店までまだ時間があるのに、もうカウンターに女将が立っていたことに思わず驚く。

「こんな時間にどうしたの?」
「それよりリリス、悪いんだけどカトレアの部屋に行ってくれるかい?」
「カトレアの部屋·····?」

開店前のこの時間にお客様がいる訳もないし、そもそも今の私は“シャル専属”だ。

何かあったかしら、なんてぼんやり考えながら指定された部屋に向かう。



「よっこいしょー!」
特に意味もない掛け声をかけつつノックもなしにドアを開けると、そこには。

「········えっ、他の開け方なかったのか?」
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