娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
上手く返事が出来る気がしなかったので、彼の手をそのまま握りながら私は小さく頷いた。



“私、とうとう今日シャルと····!”

そう考えると途端に緊張してくるもので。
一度冷静にならなくちゃとこっそり深呼吸するが、そんな私の様子をじっと見て·····

「でも、今日はやめとこうかな」

と、しれっと言った。


「えっ、ヤらない!?」
「そ、そう明け透けに言われるともったいない気がする、が、ヤらない」

“え、えっ!?なんでなんで?だってシャル、私のハジメテ貰ってくれるって···”

想定外の流れに思わずぽかんとしてしまう。


「今日はこのままリリスを抱き締めながらゆっくり寝ようかな」

そう言ったシャルは、私をそっと抱き寄せてきた。
そんなシャルに習い、私もシャルの胸に顔を埋める。

トクトクと聞こえる彼の鼓動がとても心地よくて、“彼が帰ってきた”のだとより実感することが出来た。

“私、自分で思っていたよりずっとシャルがいなかったのが不安だったんだ·····”






「···次の戦地が決まるまで、また通ってもいいか?」

戦争はまだまだ終わらない。
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