娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる

10.その先にあるのはどんな痛みか

「次はリリスがどれだけ怯んでも止めないから、怖いなら最初から拒んで」

起きたシャルはそう言ってその日は帰って行った。


“いいか、最初から、だぞ!絶対最初な!?”なんて念押しまでして。



「拒むって····」
なんて考えて思わず笑ってしまう。
もちろん事前に女将に伝えておけば嫌なお客さんは外してくれたりはするのだが、部屋に入ってから、もっと言えば“コト”が始まってからの拒否権は基本的にない。

ーー何故なら私は娼婦だから。



「そういうところがシャルらしいわね」
なんて考えていたのはもう昨日の事。


“宣言通りなら、今日も来る、わよね···?”

そして今日来るという事は、つまりはそういう事で。

「ど、どうしよう、何かしてないと落ち着かないかも···」

緊張から痛いくらいに跳ねる心臓。
苦しいけどちっとも嫌ではなかった。


そういえば、部屋でシャルが来るのを待つのは初めてだな、と精一杯別の事を考えながら時間を潰す。

“とりあえず、これは飲まなきゃよね”
と、今までは一応飲んでいたもののほぼ栄養ドリンクかジュースのような感じになっていた避妊薬をコクリと飲み干した。
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