恋とプライド
⚪︎翌日
図書館
勉強している木葉の元に裕翔やって来る。
裕翔、木葉が広げている教科書を手に取って。
裕翔「ずいぶん先の勉強してるんだな」
木葉「わぁ!」
「麻田さん!」
「驚かさないでくださいよ!」
シーっと口元に人差し指を当てる裕翔。
木葉、周りの人に会釈してから声を顰めて。
木葉「三年生からは受験に集中出来るように二年生までに高校で習う範囲を終えるカリキュラムが組まれているんです」
裕翔「なるほどね」
裕翔、木葉の隣に座る。
木葉、裕翔が参考書を取り出すのをじっと見る。
裕翔「なに?」
木葉「あの」
「これ、聞こうかずっと迷っていたのですが」
「このタイミングで聞かないのも変なので」
裕翔「なに?」
木葉「麻田さんはどちらの高校に通っているんですか?」
裕翔、少しの間の後。
裕翔「内野さんの学校から5駅先」
木葉「それってもしかしてk大附属ですか?」
裕翔「おぉ」
「すごいな、今ので分かるなんて」
木葉(信くんが狙っていた学校だから)
木葉「ていうか、めちゃくちゃ頭いいじゃないですか!」
裕翔「声、でかいって」
木葉「すみません」
体を縮こませる木葉。
木葉(でも驚いた)
(偏差値75以上の学校だなんて)
(それこそどうしてバイトなんてしているんだろう)
(オーナーの友達が麻田さんの身内の方って言ってたっけ)
(オーナーは学歴で選んでるのかな?)
(でも木崎さんは…って、まるで木崎さんが学歴低いって言ってるようなものじゃない!)
(ダメだ)
(私はいつからこんなに学歴に振り回されるようになったんだろう…)
木葉、眉間に皺を寄せた難しい表情。
裕翔、その眉間に触れて。
裕翔「可愛い顔が台無し」
木葉、驚いて目を見開く。
裕翔「いいから余計なこと考えないで勉強しな」
「わからないところは教えてあげるから」
「物理は俺、得意なんだ」
木葉「本当ですか?」
「それは助かります!」
「ソフトクリームの機械の原理、難しくて」
裕翔「ほんとに調べたの?!」
驚きつつ、笑いを噛み殺す裕翔。
裕翔「ハハ」
「面白い」
「クク」
笑う裕翔に困る木葉。
でも裕翔はしっかりと勉強を教えてくれた。