恋とプライド
⚪︎喫茶店(観光地にある一階が飲食店・二階がショップのお店)
大きな木の下にコテージ風のお店。
木葉「よろしくお願いします」
エプロンを付け、緊張の面持ちで頭を下げる木葉。
店長の隣に立ち、5人のスタッフと向かい合わせに挨拶。
木葉「内野木葉、高1です」
「働くことは初めてなのですが精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」
真帆「えー?同い年?大人っぽい」
「でも同い年嬉しい!」
「私、木崎真帆。よろしくね」
手を握る真帆。
メイクで大きくなった目が印象的。
ポニーテールは茶色く毛先がカールしている。
一目で可愛い印象を与える女子高生。
距離感の近さに驚き、動揺する木葉。
裕翔「近い」
「引いてる」
ぶっきらぼうに言う裕翔。
ポーカーフェイス。
女性のように綺麗な顔立ち。
サラサラの黒髪。
細身の長身。
裕翔、真帆を木葉から離す。
オーナー「彼は麻田裕翔」
「木葉ちゃんの一個上かな」
「俺の友達の弟でここでのバイトは二年目」
「だよな?」
無言で頷く裕翔。
オーナー「木葉ちゃんの指導よろしく」
裕翔、木葉を見て。
裕翔「分かんないことがあれば早めに聞いて」
「ミスされると迷惑だから」
木葉(イケメンだけど)
(ポーカーフェイスで冷たい印象)
(男子ってこんなだったっけ?!)
裕翔「返事は?」
木葉「あっ!はい!わかりました」
「早めに聞くよう心掛けます」
オーナー「裕翔、くれぐれも優しくね」
「バイトの子、探すの大変なんだから」
木葉(バイトの子が辞めた理由はこの人にあったのかな?)
(気を引き締め直さなきゃ)
オーナー「あとこちらが厨房担当の井上さんと鈴木さん。そしてホール担当の中谷さんとショップ担当の杉本さん」
恰幅のいい30代男性の井上さんと店長と年配の中谷さん、同い年くらいの女性、杉本さんがそれぞれ頭を下げる。
木葉も頭を下げて。
木葉「よろしくお願いします」
オーナー「じゃあ裕翔」
「早速仕事教えてあげて」
裕翔から見下ろされる視線に気押されながらもメモ帳を取り出す木葉。
早口だけど木葉がメモを取り終えるのを待ってくれる裕翔。
裕翔「あとはメニュー覚えて実践」
「レジはまだやらなくていいから」
「他、出来ることから始めて」
木葉「わかりました」
木葉、開店までの間、メニュー表に目を通していく。
真帆、近付いて。
真帆「このハーブ特有の長い名前?エルダーフラワー…とか覚えにくいんだよね〜」
「だからってわけじゃないけど」
「オーナー!今日もショップの方がいいな~」
通りかかった裕翔、ボソッと。
裕翔「オーダー間違えて怒られることが多いから客があまり来ないショップに行きたいって素直に言えば?」
真帆「違うよ!」
「将来、ショップ開きたいからその勉強を兼ねてだもん」
驚く木葉。
木葉(同い年なのにもう将来を見据えて働いているんだ)
(すごいなー…)
感心して羨望の眼差しを送る木葉。
パンパンとオーナーが手を叩く音で我に返る。
オーナー「さ、もうすぐ開店時間だよ」
「真帆ちゃんは杉本さんと一緒にショップ行って」
真帆「やった」
喜ぶ真帆と怪訝そうな顔をする杉本。
杉本「言葉遣い気をつけて」
「レジ打ちも間違えないようにしてよ?」
真帆「はーい」
オーナー「木葉ちゃんは気楽にね」
「初日から完璧に、なんて気負わなくていいから」
木葉「わかりました」
いざ実践。