恋とプライド
シナリオ2


2話

⚪︎お店

客に囲まれる裕翔。
その様子を料理が出来上がるのを待つ間に盗み見る木葉。

木葉「すごい人気ですね」

真帆「あれだけのイケメンだからね」
「ファンがたくさんいるって話だよー」

木葉「ファン?」
「芸能活動とかしてるんですか?」

真帆「してないけどファンがいるの」
「あの子たち、みんな裕翔くんのファンなんだよ」
「定期的に会いに来てる」

木葉「へぇ」
「それはすごいですね」

オーナー「木葉ちゃんもすごいよー」

背後からの声に振り向く木葉。

木葉「オーナー」
「おはようございます」

オーナー「おはよう」
「ていうか聞いたよ」
「木葉ちゃん、英語ペラペラなんだって?」
「すごいねー」
「そして俺のスカウトの目もすごくない?」

自画自賛するオーナー。
それを見てフッと笑う木葉。

木葉「少しでもお役に立てたなら幸いです」

真帆「幸いって」
「なにその言葉ー!」
「ウケるー」

笑う真帆をオーナー嗜める。

オーナー「真帆ちゃんは木葉ちゃん見習って綺麗な日本語使って」

真帆「えー?」
「英語は出来ないけど日本語はちゃんと喋ってるけどー?」

オーナー、苦笑い。
そこに裕翔が来て会話に加わる。

裕翔「まずは敬語使えるようにしろよ」

真帆「裕翔くん」
「ファンの相手はいいの?」

裕翔「注文たっぷり取ってきた」

淡々とオーダーを厨房に伝える裕翔。

オーナー「ハハ」
「ありがたいね」
「その調子で頼むよ裕翔」

裕翔「言われなくても」

真帆「あー!裕翔くんだって敬語使ってないじゃーん!」

裕翔「うるさいな」
「真帆はオーダー取りに行けよ…って」
「あいつ仕事ほんと早いな」

木葉、オーダーを取りに行っていた。

裕翔「オーナー」
「あいつ何者?」

オーナー、目を細めて優しい顔で。

オーナー「めちゃくちゃ努力家な」
「でも普通の女子高生だよ」
「ただいま、社会勉強中」

裕翔、オーナーの様子をじっと見る。
オーナー、その視線に気づいて。

オーナー「ちなみに『あいつ』じゃなくて『内野木葉ちゃん』ね」

オーナー、ウインクしてその場を立ち去る。
今までのやり取りを見ていた真帆。
裕翔にコソッと。

真帆「オーナーって木葉ちゃんのこと好きなのかな」
「あんな優しそうな笑顔、見たことないよね?」
「まぁ、たしかにナチュラルにめちゃくちゃ可愛いけど」
「オーナーとは年離れてる…って」
「ねぇ、聞いてる?」

裕翔「聞いてる」
「けどちょっと黙ろうか」

裕翔、物陰にいる杉本に気がついていて。

裕翔「杉本さん、おはよーございます」

真帆「え?!」
「杉本さんいたの?」
「やば」

こそこそ隠れようとする真帆の目の前に杉本現れる。

杉本「おはよう」
「ふたりとも」

真帆「あー…」
「おはよーございまーす!」

打って変わって明るく挨拶する真帆。
それに対して冷たい視線を送る杉本。

杉本「木崎さん」

真帆「はい」

杉本「仕事中は私語厳禁」
「いい加減覚えて」

真帆、肩をすくめる。
それからショップがある2階に昇る杉本を見てから、真帆、裕翔にまたコソッと。

真帆「さっきの聞かれちゃったかな?」

裕翔、首を傾げる。

真帆「杉本さん、オーナーのこと好きなんだよね?」
「いい気分しないよね」
「ていうか三角関係になるかな?」
「怖ー!」
「でも楽しそうー!」

裕翔、杉本が昇って行った階段を見つめてから木葉を見て。

裕翔「ま、いっか」
「これも社会勉強のひとつになるだろ」
< 7 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop