すべてを捨てて、君を迎えに行く



デートは至って順調だった。

不安に思った身バレも無く、アトラクションや園内の可愛らしいフードをシェアして楽しみ、クリスマス限定のパレードを観ていればあっという間に楽しい時間は過ぎていった。


待ち時間なんかには時々腰を抱かれたり顔を寄せられたりとハラハラする場面もあったが、やはり嬉しさが優ってしまうので小言をいいつつも受け入れ、終わる頃には星來の不安も少し解消されていた。



閉園の時間を迎えてパークを後にする。

普段なら此処で現地解散であるが、楽しさの余韻なのか星來はまだ帰りたくないと思ってしまっていた。


パークをイメージしたモニュメントを前にして手が離れた時、寂しさに任せてつい思いを口にしそうになったが、先にそれを京弥が遮ってきた。




「今日はもう少し時間いいか」


どこか真剣味を帯びた声色に考えるより先に頷いていた。











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