すべてを捨てて、君を迎えに行く



かつては大嫌いだった泣き顔も、今となっては愛おしくてたまらない。

それは一重に愛した女が自分の為だけに流す涙だから。


そのまま顔を寄せ、再びキスをする。
星來が拒否をしない事を良いことに舌をねじ込み絡め、這わせ、これでもかと口内を犯し尽くした。


「…星來、好きだ。早く俺のモンになれ」


思わず漏れた懇願するような台詞に反吐が出る。

けれど口をついて出た言葉に星來が甘く反応するのを見れば、嘘のように気分が良くなった。






ーー早くこの人のものになりたい

止まらないキスを受け入れながら、星來は心の中で強く思った。


あと少し。あともう少しだから待ってて。


言葉に出来ないけれどどうか伝わって欲しいと願いながら、星來は愛する男からのキスに溺れていった。







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