すべてを捨てて、君を迎えに行く
「さすが京弥くん…心だけじゃなく身体までモノにしてる」
「お前…ちったあ焼けや」
「?何を?」
「モチだわ!惚れた男の過去の女の話を平然としてんじゃねえ!」
「え、めんどくさ…」
「はあああい!?」
そうは言われても、身体を許してないだけで自分だって同じような事をしてきている訳だから何か言えた立場じゃない。
それに女を取っ替え引っ替えしていたならまだしも、ほぼ経験が無いと言っているのに今更何処にヤキモチを妬けというのだろうか。
「京弥くんてさ、好きな子は束縛するタイプだったりする?」
「知るか!後にも先にもこんなんなるのはお前だけだわ」
ヤケクソだと言わんばかりに京弥はそう吐き捨てる。
京弥は不服そうだが、星來はその言葉に胸の辺りがじんわりと温かくなるのを感じていた。
後にも先にもお前だけ、それはつまりこの先はずっと星來の事だけを愛してくれるということ。
ずっと自分のものだけで居てくれるという事。
ヤキモチは妬かずとも星來は心から京弥だけを愛している。
そんな大好きな夫が同じ気持ちで側に居てくれる。
そう思うと自然と笑みが溢れてきて、星來は天使のような笑顔を浮かべた。