すべてを捨てて、君を迎えに行く
それがつい先週の出来事だったと記憶している。
ある意味散々鷹見の前で恥をかかされもう二度と来ないだろうと思っていたが、予想に反して京弥は二度目の来店を迎えていた。
もちろん、鷹見の紹介なので星來のお客となる訳だがその割には酷く不機嫌そうな表情で出迎えてきた。
彼の強い要望によりその場に着いたのは星來一人で、開口一番の台詞が「お前、綾川星來だろ」だった時にはさすがに頭痛がした。
「こういった場で本名を出してくるのはマナー違反では?」
「うるせえ、俺に指図すんな」
猫型ロボットに泣きつく男の子を毎度虐め抜くガキ大将も真っ青な俺様ぶりである。
更に「とっとと酒作れや」と遙か上空から見下すような口調でそうのたまうので、ハラハラとこちらの様子を伺っていたボーイに前回と同じものを頼み持って来させた。
そんな京弥は先程から星來の所作をジッと見つめている。
「あの、皇社長」
「お前が言うとうちのどれを呼んでるかわかんねえだろうが。皇何人居ると思ってんだ」
「分かりました。では京弥様」
「キモい呼び方すんな。あと口調もだ」
「…はあ。分かったよ、京弥くん」
その呼び方は過去に彼を呼ぶ時に使っていた呼び方だ。
ある意味黒歴史なので正直蓋をしたままでいたかった。