「エフクトレロ 未来の記憶を持つ子どもたち」


第3~4話:食料確保作戦
朝の会議:食料を探すための準備

「さて、今日は食べ物探しだ!」エールが張り切って声を上げる。

「でも、無計画に動くと無駄が多くなるわ。」ローザが冷静に切り返す。「まずはどんな食料を探すのか決めて、効率よく動きましょう。」

「クリム、植物に詳しいよな。食べられる野草とか教えてくれないか?」エールがクリムに視線を向ける。

「仕方ないわね。」クリムは腕を組んで頷く。「この島の植物、昨日いくつか見たけど、食べられる可能性があるのはあの辺りの低木の実ね。ただし毒があるかもしれないから、慎重に。」

「よし、オレたちは木の実や果物を探す係だな! それとフライ、何か動物がいそうな場所を見つけたら教えてくれ!」エールはフライとペアを組み、森の奥へ向かった。

一方、ローザ、クリム、レンジ、トロイのチームは海岸線を歩きながら、貝や魚を捕る作戦に出た。

エール&フライ:木の実と動物探し

森の奥に進むと、フライが高い木に登り、周囲を観察する。

「エール! あっちに大きな赤い実がたくさんなってる木を見つけたぞ!」フライが指差す方向に進むと、彼らは見事に熟した果実の木を発見した。

「これ、クリムが言ってたのと似てるな。でも、毒があるかもしれない。」エールは慎重に果実を1つ拾い、鼻で匂いを嗅ぐ。

「じゃあ、ローザに持って帰って検証してもらおうぜ!」フライが枝を揺らして数個の実を落とし、布に包んで持ち帰る準備をした。

その時、フライの耳がピクリと動く。「何か動物の気配がする……!」彼は素早く音のする方向に走り出した。

ローザ&クリム&レンジ&トロイ:海辺での挑戦

海岸にたどり着いた4人は、トロイが貝殻を拾い始めた。

「この辺、潮が引いたときにいろんな貝が出てきそうだよ!」トロイが嬉しそうに言うと、クリムは貝殻を注意深く調べた。

「これ、いくつかは食べられるわ。でも、この黒っぽいのは危ないかも。」クリムが指摘すると、レンジが簡単な袋を作り、選別した貝を入れた。

その間、ローザは細い枝を使って魚を捕る仕掛けを作っていた。「これを浅瀬に置けば、小さな魚は捕まえられるかもしれないわ。」

トロイが海の音を聴きながらポツリと呟いた。「動物も海に近づいてくるかもしれないね。僕、少し探してみる。」

成果と小さなごちそう

夕方、全員がシェルターに戻り、成果を報告した。

エールとフライが持ち帰った赤い果実をローザが調べ、「これは多分大丈夫よ。少量を試してみて体調を確認するのがいいわね。」と結論を出す。

トロイが貝を手にして「これ、みんなで少しずつ分けよう!」と笑顔を見せた。

貝を焚き火で焼き、果実を慎重に試食すると、みんなの顔に笑みが広がった。

「うまい! オレたち、ちゃんとやれるじゃん!」エールが喜びの声を上げると、レンジが静かに言った。

「これが1日分だ。明日はもっと効率的に探さないと持たないな。」

夜の反省会と結束

「今日の成果は悪くなかったわ。でも、もっと計画的に動かないと。」ローザが話をまとめると、クリムも同意した。

「食べ物だけじゃなくて、保存の方法も考えないとダメね。」

トロイがみんなに歌を贈り、「明日はもっといい日になる!」と励ます。

子どもたちはそれぞれの役割を少しずつ理解しながら、無人島でのサバイバル生活に慣れ始めていた。

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第4話:嵐の夜と試練
突如訪れた嵐

4日目の朝、子どもたちは昨日の成果を喜びつつ、次の行動を計画していた。しかし、昼過ぎから風が強まり始め、空は灰色の雲に覆われる。エールが海の様子を見て、眉をひそめた。

「これ、嵐が来るぞ……!」

「マジかよ、今度は嵐かよ!」フライが叫ぶ。

「急いでシェルターを補強しないと飛ばされる!」レンジが指示を出し、全員で動き始める。帆布を追加で固定し、枝を使って風除けを作るが、風はどんどん強くなる。

ローザの冷静な判断

「このままじゃダメ。シェルターの位置を変えたほうがいいわ!」ローザが叫ぶ。

「どうしてだよ?」エールが疑問の声を上げる。

「風向きと地形を見れば分かる。今の場所だと潮が上がってきたら流される可能性があるのよ!」ローザの分析に、レンジもすぐに同意した。

「確かに……高台に移動するしかない。みんな、急いで荷物をまとめろ!」

移動と新たなシェルター作り

子どもたちは嵐の中、荷物をまとめて近くの高台に移動した。雨は容赦なく降り注ぎ、風で視界が悪くなる中、エールとフライが先頭に立ち、皆を引っ張る。

「こっちだ! 岩場があって、少しは風が防げる!」エールが声を張り上げる。

高台に到着すると、レンジが簡易的なシェルターを再び組み立てる。クリムが周囲の植物を集めて補強し、ローザが応急的に水を集める装置を作った。

「これで雨水を少しでも確保できるわ。」ローザの装置に全員が感心する。

嵐の恐怖と仲間の絆

嵐のピークに達した夜、シェルターに身を寄せ合いながら、子どもたちは不安を紛らわせるために話し合った。

「こんな状況でも、俺たち頑張ってるよな。」エールが笑みを浮かべる。

「うん。普通なら絶対無理なことだよ。」トロイが優しく続ける。

「でも、明日にはもっと大きな課題が待ってるわ。」ローザが冷静に言う。「嵐が過ぎた後の被害をどうするか考えないと。」

クリムが小さく頷き、「植物もかなりやられてるだろうから、食料探しは難しくなるかもね。」とつぶやいた。

嵐明けの朝

翌朝、嵐が収まり、子どもたちは慎重に外へ出た。森は倒木が多く、浜辺も荒らされていたが、幸い高台のシェルターは無事だった。

「これ、全部片付けるのは無理だな。」フライが苦笑いを浮かべる。

「いや、これをチャンスにしよう。」レンジが提案した。「倒木を使って新しいシェルターや道具を作れるかもしれない。」

「それに、この雨で新しい水源が見つかるかも。」トロイが動物の足跡を見つけながら提案する。


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