「エフクトレロ 未来の記憶を持つ子どもたち」
第10~11話:地図に示された印の正体
地図に刻まれた目的地
翌朝、子どもたちは地図を囲んで次の行動を話し合った。地図には島全体が描かれ、いくつかの場所に「印」が付けられていた。その中で最も大きな印がある場所を目指すことに決まった。
「ここだな。一番大きな印が付いてる。この場所に何か重要なものがあるはずだ。」エールが指を地図に置いて言った。
「でも、これ、島の中心部に近いわね。かなり歩くことになるわ。」ローザが慎重に付け加える。
「だからこそ、みんなで協力して行こう。絶対に大事なものがある。」エールが力強く宣言した。
旅の準備
出発に備え、全員が準備を整えた。クリムが新たに見つけた果実と、洞窟で見つけた干し肉を持ち、トロイが水の確保のために即席の携帯用フィルターを作った。
「これで水も大丈夫だな。後はどれくらい歩くかだ。」レンジが地図を確認しながら言う。
「道中での安全も確保しないとね。」ローザが周囲の道具を整えていると、フライが元気よく応じた。
「俺に任せとけ! 何が来ても飛び跳ねて逃げられるから!」
島の中心部へ向かう冒険
出発してから数時間、子どもたちは島の地形に苦労しながらも、少しずつ目的地に近づいていた。森の中は次第に鬱蒼としてきており、今まで見たことのない大きな植物や不思議な動物たちが現れ始める。
「この辺り、明らかに他と違う。自然が濃密すぎるわ。」クリムが観察しながら言った。
「でも、これだけ植物が豊かなら、きっと何か特別な場所があるはずだ。」エールが前を見据えながら言う。
大きな石柱の発見
地図の印に近づいたころ、子どもたちは巨大な石柱がそびえ立つ光景を目にした。石柱には複雑な模様が刻まれ、ところどころに鮮やかな色が残っていた。
「これ、何かの儀式に使われてたんじゃない?」ローザが石柱を触りながら言った。
「すげえな……こんなものが島の真ん中に隠れてたなんて。」フライが驚いた表情を浮かべる。
石柱の周囲を調べていると、レンジが地面に埋もれた金属製の蓋のようなものを見つけた。
「ここ、何かの入口みたいだ。」レンジが指差す。
地下への入口
全員で力を合わせて金属製の蓋を開けると、その下には地下へ続く階段が現れた。薄暗く、何かが響くような静寂が漂っている。
「絶対に何かがある!」エールが興奮しながら中を覗き込む。
「でも慎重に進まないと。ここまで来て何かあったら元も子もないわ。」ローザが冷静に警告した。
たいまつを灯しながら、子どもたちは地下へと足を踏み入れる。階段を下りた先には、広い空間が広がり、壁にはさらに複雑な模様と文字が刻まれていた。
地下の神秘的な空間
地下の空間にはいくつもの部屋があり、それぞれに古びた道具や壺、紙のようなものが残されていた。奥の部屋には大きな石板が置かれており、その表面には奇妙な文字とシンボルが描かれている。
「これ、何を意味してるんだろう……?」トロイが不思議そうに石板を見つめる。
「多分、この島の歴史や使われていた技術について書かれてるのかも。」ローザが真剣な顔で推測した。
その時、エールが石板の近くにあった小さな箱を開けた。中には宝石のように輝く青い石が一つ入っていた。
「これ……なんだ? ただの宝石じゃなさそうだ。」エールが石を手に取ると、不思議な温かさを感じた。
新たな手がかり
青い石を手にしたエールは、「これがこの島の秘密を解く鍵になるのかもしれない」と感じた。しかし、まだその用途や意味は分からない。
「この石を使って何かをするのかもしれないけど、もっと調べないと。」ローザが提案する。
「それに、この地下空間にはまだ見つけてない部屋があるかもしれない。もう少し探索しよう。」レンジが周囲を見渡した。
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第11話:青い石の謎
廃墟での議論
洞窟から青い石を持ち帰った子どもたちは、廃墟に戻るとすぐに石を囲んで議論を始めた。石は太陽光に反射して美しく輝き、触れると温かい感触が伝わってくる。
「これ、ただの宝石じゃないわね。熱を持ってるのは不思議すぎる。」ローザが眉をひそめる。
「そうだな。普通の石ならこんなに特別な感じはしない。」レンジも頷いた。
「この石、島全体と関係してる気がする。地図の他の印も調べてみれば、もっとヒントがあるかもしれない。」エールが提案する。
「次はどこを目指す?」トロイが地図を見ながら聞く。
「この印の場所だな。」ローザが指差したのは、島の南東にある小さな印だった。
新たな目的地へ
翌朝、子どもたちは青い石を慎重に持ち、島の南東部に向けて出発した。道中、これまでとは異なる植物や地形が次々と現れ、島全体が未知の世界であることを実感する。
「ここ、また違う雰囲気だな。」フライが周囲を見渡しながら言った。
「植物の種類が明らかに違うわ。この辺り、誰かが手を加えた痕跡があるかも。」クリムが低木を調べながら言った。
進むうちに、遠くに不自然に切り立った崖のような場所が見えてきた。
崖の上での発見
目的地に近づくと、そこには崖を登るための古びた梯子が設置されていた。木製の梯子は朽ちてはいたが、なんとか登れる状態だった。
「これ、崖の上に何かがあるぞ!」エールが目を輝かせた。
「でも気をつけて。梯子が崩れたら危ない。」ローザが警告する。
一人ずつ慎重に梯子を登り、全員が崖の上にたどり着くと、そこには小さな祠のような建物があった。中には青い石と似た形状の、緑色に輝く石が置かれていた。
緑色の石の力
「これ、さっきの青い石と同じ種類の石だ!」フライが興奮して叫ぶ。
「確かに似てるわね。でも、色が違うのは何を意味してるのかしら?」ローザが石を慎重に持ち上げる。
「触ってみろよ。こっちは冷たいぞ。」エールが青い石と比較して言った。
緑色の石は冷たい感触があり、青い石とは対照的な性質を持っているようだった。
石が示す新たな場所
緑色の石を手にした瞬間、どこからともなく風が吹き、祠の中にあった壁画の一部が崩れ落ちた。その下から新たな地図が現れた。
「これ、さらに別の場所を示してるわ!」ローザが地図を広げた。
「島の北西……また全然違う場所だな。」レンジが地図を確認する。
「この石と一緒に使うことで、何かが起きるんじゃないか?」エールが両方の石を見比べながら言った。
帰還と次の計画
廃墟に戻った子どもたちは、2つの石を並べて考察を始めた。
「青い石は温かく、緑の石は冷たい。それぞれが対照的な力を持ってる気がする。」ローザが説明する。
「島の北西にある場所で、この2つを使えば何かが起きるかもしれない。」クリムが新たな地図を見ながら提案した。
「よし、次は北西を目指そう! これが島の謎を解く鍵になるはずだ。」エールが意気込んで言った。
夜の不穏な気配
その夜、子どもたちが眠りにつこうとした時、廃墟の外から微かな音が聞こえた。動物の鳴き声でもなく、風の音とも違う、不気味な音だった。
「また何か来てるのか?」フライが身を起こして周囲を警戒する。
「明日にはもっと慎重に行動しないと……。」レンジが静かに呟いた。