初恋を運命と呼びたい
 初めての恋人と付き合いはじめて三ヶ月。
 今日のデートは彼の都合で流れてしまった。
 
 私を大事にしてくれる恋人の大翔(ひろと)くんは、三日前にまるでこの世の終わりみたいな声で連絡をくれて、何度「ごめん」と謝られたかわからない。

 都合が悪くなったとだけ聞いているのが少しだけ引っかかる。
 しかしそこを追及したところで私には彼の都合をコントロールすることなど出来ないだろう。

 ぽっかり予定の空いてしまった休日に、ゴロゴロしているのも楽しみにしていたデートが流れてしまったがっかり感を引きずりそうで、デートのつもりでしっかりメイクして着替えて、一人映画でも見に行こうかとえいっと出かけてみる。
 
 街中でカップルとすれ違うと、私も今ごろ大翔くんとお出かけしていたのにな、なんてこと思ってちょっとだけ寂しくなった。
 商業施設の人混みの中を歩いていると、今までこうして一人で出歩くのも当たり前だったのに、今は大翔くんが隣にいないことにすでに違和感さえ覚える。
 彼の存在は、私の中であっという間に大きくなってしまったようだ。

 だからだろうか。
 人混みの中でも大翔くんのことを見つけられたのは。
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