初恋を運命と呼びたい
 カフェを出ると、大翔くんのお姉さんは「次はあなたたちの結婚式で」と言い残して雑踏の中に消えていく。

「……うるさくてごめん」

 確かにパワフルだけど、優しいお姉さんだ。
 しかし、隣では『ひとバトルして来ました』くらいに疲れ果てている様子の大翔くんを見て思わず笑ってしまう。
 きっとお姉さんには敵わないのだろう。
 今日のデートが一度は流れてしまったのも仕方がない。

「お姉さんとお買い物ならそう言ってくれればよかったのに」
「めぐより姉ちゃん優先させるなんて本当は嫌だったし、言えなかった」
「……そうなんだ。大翔くんの彼女じゃなくて良かった」
「いや、俺にはめぐだけだから」

 そう言われて彼にじっと見つめられると照れるしかない。
 
「私の初恋も、大翔くんなんだ……」
「え……?」
 
 大翔くんの初恋が私だなんて彼の口からは聞いてなかったけれど、知ってしまった以上、私が告白していないのはずるい気がして素直に告げると、彼は想像以上にびっくりしていた。
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