【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
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8.大魔導師エルベルト視点
何度目になるか分からない転生の末、ある予感があった。再び眠りにつくフェリーネを見届けてから、彼女の本体が眠るクリスタルに触れた。
フェリーネ、君と出会ってから七人の魔導師は本当の意味で支え合う仲間に、家族になったのだと思う。君のために途方もない時間を費やしてでも付き合うというのだから、本当に気の良い連中だよ。
私は君が好きだ。愛おしくて、大切で、守りたいと思った。
そもそも最初から神々の狙いは私だ。神々を凌駕する叡智を得た私を滅ぼす存在がフェリーネだったのだろう。
フェリーネの《役割》を終わらせる術式と解呪を研究してようやくたどり着いた。私の魂に蓄積された叡智全てでそれらは相殺される。この事実だけは私が持って行く。
セリオの計画のおかげで、この事実に気づく者はいないだろう。
「フェリーネ、さようならだ。でも、なんでだろうね。全てを忘れたとしても、君とはまたどこかで出会うだろうな」
次に君と出会ったら色々拗らせて、面倒なことになりそうだけれど、でもその私もきっと君を好きになる予感がする。