裏稼業殺し屋の聖職者はうっかり取り憑かれた悪魔から逃げ切りたい!?
コツコツっとあたりに足音が響き、それはパトリシアの前でピタリと止まる。
「はっ、惚れた男の魂は泣くほど美味かったか? 暴食」
嘲笑と侮蔑を含ませて傲慢が言葉を発すると同時にジャラッ、という小さな音を耳が拾う。
「っ!?」
禍々しい気配に距離を取ったはずの傲慢はバランスを崩し、地に手をつく。気づけば自身を支えるはずの足が片方失くなっていた。
「なんだ、それは!!」
すぐさま立ち上がり、過去を改竄し、攻撃を受けなかったことにした傲慢はそう叫ぶ。
パトリシアの武器は大鎌だったはずだ。
なのに、今彼女の周りに絡みついているのは鎖。
「相変わらず、不躾ですわね」
傲慢の問いを無視し、ヒトの逢瀬を邪魔するなんて、といったパトリシアは、ピンク色の瞳から涙を溢す。
頬を伝う涙を拭うことなく、傲慢に顔を向けた彼女は無表情のまま手をかざす。
「はっ?」
暴食とはそれこそ異界大戦より前からの古い付き合いだ。決して油断などしていなかった。
だというのに、傲慢は彼女の攻撃を防ぐ事も避けることもできず、気づけば鎖の先についている鎌で身体を斬り裂かれていた。
「ああ、まだ感覚が戻りませんわね。この子を本来の姿で使うのってとっても久しぶりなのですよ」
私に似て大喰らいですの、とパトリシアが説明すれば、鎖はまるでそれ自体が意志を持っているかのように自由に勝手に動き出し、傲慢を追いかけはじめる。
傲慢が攻撃しようと腕を伸ばせば、何かを為すより早くその腕は消失し、過去を改竄し修復している隙に別の部位が消え失せる。
「なっ、一体どうなって……」
いつのまにかパトリシアに追い詰められ、逃げの一手しか打てなくなった傲慢。
そんな彼を見下ろして。
「どうぞ好きなだけ改竄なさって? それを上回る速度で刻み続けますから」
あなたの存在が擦り切れるまで、とパトリシアは淡々とした口調でそういうと、
「食事の時間ですわ。さぁ、絶望を喰らい尽くしなさい」
月を背に綺麗に微笑む。
神秘的なその存在は圧倒的な捕食者で。
「あああああーーーーーー!!!!!!」
彼女は暴食の名に相応しく、最期の断末魔まで全て綺麗に喰らい尽くした。
「はっ、惚れた男の魂は泣くほど美味かったか? 暴食」
嘲笑と侮蔑を含ませて傲慢が言葉を発すると同時にジャラッ、という小さな音を耳が拾う。
「っ!?」
禍々しい気配に距離を取ったはずの傲慢はバランスを崩し、地に手をつく。気づけば自身を支えるはずの足が片方失くなっていた。
「なんだ、それは!!」
すぐさま立ち上がり、過去を改竄し、攻撃を受けなかったことにした傲慢はそう叫ぶ。
パトリシアの武器は大鎌だったはずだ。
なのに、今彼女の周りに絡みついているのは鎖。
「相変わらず、不躾ですわね」
傲慢の問いを無視し、ヒトの逢瀬を邪魔するなんて、といったパトリシアは、ピンク色の瞳から涙を溢す。
頬を伝う涙を拭うことなく、傲慢に顔を向けた彼女は無表情のまま手をかざす。
「はっ?」
暴食とはそれこそ異界大戦より前からの古い付き合いだ。決して油断などしていなかった。
だというのに、傲慢は彼女の攻撃を防ぐ事も避けることもできず、気づけば鎖の先についている鎌で身体を斬り裂かれていた。
「ああ、まだ感覚が戻りませんわね。この子を本来の姿で使うのってとっても久しぶりなのですよ」
私に似て大喰らいですの、とパトリシアが説明すれば、鎖はまるでそれ自体が意志を持っているかのように自由に勝手に動き出し、傲慢を追いかけはじめる。
傲慢が攻撃しようと腕を伸ばせば、何かを為すより早くその腕は消失し、過去を改竄し修復している隙に別の部位が消え失せる。
「なっ、一体どうなって……」
いつのまにかパトリシアに追い詰められ、逃げの一手しか打てなくなった傲慢。
そんな彼を見下ろして。
「どうぞ好きなだけ改竄なさって? それを上回る速度で刻み続けますから」
あなたの存在が擦り切れるまで、とパトリシアは淡々とした口調でそういうと、
「食事の時間ですわ。さぁ、絶望を喰らい尽くしなさい」
月を背に綺麗に微笑む。
神秘的なその存在は圧倒的な捕食者で。
「あああああーーーーーー!!!!!!」
彼女は暴食の名に相応しく、最期の断末魔まで全て綺麗に喰らい尽くした。