公爵の想い人は、時空を越えてやってきた隣国のパティシエールでした
Side エマ
身体が、思うように動かない。
重い・・苦しい・・。
誰かが私の身体を労ってくれている。
男性の声で呼びかけられた気がするけれど、よく聞こえない。
もしかして、詩音?
「・・・・音、詩・・音・・」
呼びかけてみたものの、また気が遠くなる。
そのまま真っ暗な闇に吸い込まれそうになった時、やわらかな光がゆっくりと後ろから追いかけてきた。
これは・・何?
立ち止まって振り返ると、光の中で私に微笑みかける男性がいた。
誰?
詩音じゃ、ない・・。
誰なのか確かめたくて、私はその男性に手を伸ばした・・。
「目が覚めたか?」
はっきりと声が聞こえて、目を開けた。
え・・。
なぜ・・?
「長いこと眠っていたから、何か見えない損傷があるのかと思って心配したよ」
「あの・・ここ・・は・・」
「ああ、私の私室だ」
「もっ、申し訳ございませんっ!」
レナード公爵の答えに驚き、ガバッと上半身を起こしたものの目眩がして右手で目元を覆う。
「無理をしてはいけない。スカラ夫人には私が預かると連絡してあるから、回復するまでここにいるといい」
そう言って、レナード公爵はベッドサイドに腰掛け、私の上半身をストールで包んでくれた。
「あの、公爵様・・。なぜ私が公爵様のベットで寝ているのか、教えてください・・」
「あー・・それは・・だな。気づいたら、ここに連れてきていて・・。なぜと言われても・・」
困りつつも照れたような表情のレナード公爵に、思わずふっと頬が緩んだ。
「そうして、微笑んでいてくれ」
「えっ」
「詳しくは知らないけれど、何か辛いことがあったのだろう? ここには目新しいものは無いだろうが、ゆっくり過ごすといい。せめて、熱が下がるまでは」
そう言ってやわらかく笑みを浮かべるレナード公爵に、私の頬は一気に熱くなる。
笑顔が、素敵すぎて。
「ん? 頬が赤い。また熱が上がったのだろうか・・」
体温を確かめるために額に伸びてきた大きな手を、避けることもできず、目を閉じて受け止めた。
重い・・苦しい・・。
誰かが私の身体を労ってくれている。
男性の声で呼びかけられた気がするけれど、よく聞こえない。
もしかして、詩音?
「・・・・音、詩・・音・・」
呼びかけてみたものの、また気が遠くなる。
そのまま真っ暗な闇に吸い込まれそうになった時、やわらかな光がゆっくりと後ろから追いかけてきた。
これは・・何?
立ち止まって振り返ると、光の中で私に微笑みかける男性がいた。
誰?
詩音じゃ、ない・・。
誰なのか確かめたくて、私はその男性に手を伸ばした・・。
「目が覚めたか?」
はっきりと声が聞こえて、目を開けた。
え・・。
なぜ・・?
「長いこと眠っていたから、何か見えない損傷があるのかと思って心配したよ」
「あの・・ここ・・は・・」
「ああ、私の私室だ」
「もっ、申し訳ございませんっ!」
レナード公爵の答えに驚き、ガバッと上半身を起こしたものの目眩がして右手で目元を覆う。
「無理をしてはいけない。スカラ夫人には私が預かると連絡してあるから、回復するまでここにいるといい」
そう言って、レナード公爵はベッドサイドに腰掛け、私の上半身をストールで包んでくれた。
「あの、公爵様・・。なぜ私が公爵様のベットで寝ているのか、教えてください・・」
「あー・・それは・・だな。気づいたら、ここに連れてきていて・・。なぜと言われても・・」
困りつつも照れたような表情のレナード公爵に、思わずふっと頬が緩んだ。
「そうして、微笑んでいてくれ」
「えっ」
「詳しくは知らないけれど、何か辛いことがあったのだろう? ここには目新しいものは無いだろうが、ゆっくり過ごすといい。せめて、熱が下がるまでは」
そう言ってやわらかく笑みを浮かべるレナード公爵に、私の頬は一気に熱くなる。
笑顔が、素敵すぎて。
「ん? 頬が赤い。また熱が上がったのだろうか・・」
体温を確かめるために額に伸びてきた大きな手を、避けることもできず、目を閉じて受け止めた。