公爵の想い人は、時空を越えてやってきた隣国のパティシエールでした
うーん・・。
いったい何が起こった?
私は交通事故に遭って、この世の者ではなくなったはずなのに・・。
でも私は『亡くなるまでの記憶』をいまも持っている。
そう、いまも亡くなる前の原島(はらしま) 恵麻の思考回路そのままだ。
それなのに。
どうも世は変わり、どこかの国に私はいて。
更に言えば、『エマ・ベリーフィールド伯爵令嬢』の身体の中にいる。
うーん・・。
馬車に揺られ、外の景色を眺める。
原島 恵麻は、日本で生まれた29歳の女性。
身長158センチ、体重は51キロ。
ハニーブラウンにカラーリングした背中までのロングヘアと、色素の薄いブラウンの瞳が印象的だと言われ、美人というよりはカジュアル女性のイメージ。
そして職業はパティシエール・・だったのだが。
「エマ、辛いだろう。あれほど厳しいお妃教育を乗り越えたのに、こんな仕打ちを受けるとは・・。
おそらく、私の議会への影響力が大きくなるのを嫌って、ロルバーン伯爵が議会に圧力をかけたのだろう」
「・・はい」
「エマは何も悪く無い。貴族令嬢が菓子を焼き、民衆と共に笑顔で茶を楽しむ・・我が領地でしか見ることのできない、素晴らしい光景だ。
私は、エマを誇りに思っているよ。皇族にこそ、そんな慈しみの心が必要なはずなのに、理解されないなんて本当に残念だ」
「・・はい」
私は父だというベリーフィールド伯爵の言葉に、短い返事を返すことしかできなかった。
何がどうなっているのか、そして、そもそもエマがどんな言動をするのが正しいのか、分からなかったからだ。
そうこうしている間に、馬車はベリーフィールド伯爵邸に到着。
知らせを受けた伯爵夫人・・つまりエマの母が、私に駆け寄りぎゅうっと私を抱き締めた。
「あぁ、なんてことでしょう。私たちのエマが突然婚約破棄だなんて・・」
「マリー、エマはショックで話せないんだ。優しくしてやっておくれ」
私は、苦しさを堪えながらもエマを気遣う両親を見て、何だかやるせない気持ちになった。
いったい何が起こった?
私は交通事故に遭って、この世の者ではなくなったはずなのに・・。
でも私は『亡くなるまでの記憶』をいまも持っている。
そう、いまも亡くなる前の原島(はらしま) 恵麻の思考回路そのままだ。
それなのに。
どうも世は変わり、どこかの国に私はいて。
更に言えば、『エマ・ベリーフィールド伯爵令嬢』の身体の中にいる。
うーん・・。
馬車に揺られ、外の景色を眺める。
原島 恵麻は、日本で生まれた29歳の女性。
身長158センチ、体重は51キロ。
ハニーブラウンにカラーリングした背中までのロングヘアと、色素の薄いブラウンの瞳が印象的だと言われ、美人というよりはカジュアル女性のイメージ。
そして職業はパティシエール・・だったのだが。
「エマ、辛いだろう。あれほど厳しいお妃教育を乗り越えたのに、こんな仕打ちを受けるとは・・。
おそらく、私の議会への影響力が大きくなるのを嫌って、ロルバーン伯爵が議会に圧力をかけたのだろう」
「・・はい」
「エマは何も悪く無い。貴族令嬢が菓子を焼き、民衆と共に笑顔で茶を楽しむ・・我が領地でしか見ることのできない、素晴らしい光景だ。
私は、エマを誇りに思っているよ。皇族にこそ、そんな慈しみの心が必要なはずなのに、理解されないなんて本当に残念だ」
「・・はい」
私は父だというベリーフィールド伯爵の言葉に、短い返事を返すことしかできなかった。
何がどうなっているのか、そして、そもそもエマがどんな言動をするのが正しいのか、分からなかったからだ。
そうこうしている間に、馬車はベリーフィールド伯爵邸に到着。
知らせを受けた伯爵夫人・・つまりエマの母が、私に駆け寄りぎゅうっと私を抱き締めた。
「あぁ、なんてことでしょう。私たちのエマが突然婚約破棄だなんて・・」
「マリー、エマはショックで話せないんだ。優しくしてやっておくれ」
私は、苦しさを堪えながらもエマを気遣う両親を見て、何だかやるせない気持ちになった。