公爵の想い人は、時空を越えてやってきた隣国のパティシエールでした
レナード公爵が休暇を取ったのは、私のため・・?
戸惑いつつ、執務室のドアをノックする。
『はい』
「エマです。お待たせいたしました」
勝手にドアを開けることはできないので、レナード公爵の指示を待つ。
「さぁ、入って。一緒に食べよう」
「えっ? あ、はい、失礼いたします」
招かれて中に入ると、運び込まれたばかりなのか、湯気の立つ食事がセットされていた。
「いま届いたばかりだよ。温かいうちに食べようか」
『どうぞ』と椅子を引かれ、座らないわけにもいかず静かに座った。
「あの、公爵様・・今日お休みを取られたのは・・」
「あー・・うん・・。もしエマ嬢が良ければ、今日一日、一緒にいられたら・・と、思って・・」
「えっ?」
「まずは・・食べないか? 冷めないうちに」
視線をそらしたレナード公爵の頬が赤いように見える。
それが伝染したのか、なんだか私までドキドキしてきた。
お互いに無言で食べ進めていたものの、先にレナード公爵がナイフとフォークをテーブルに置く。
「従者たちと今日も調理するというのを聞いて、正直、羨ましかったんだ。それで、せめて近くで見たいと思い、午後は家で執務したいとカイルに言ったんだが・・」
「え・・羨ましい・・というのは・・」
「私は、厨房に立つ祖母と話をするのがとても好きだった。作るのを見るのも、時々手伝わせてもらうのも好きだったんだ。だから、懐かしさと同時に羨ましくなって・・。
後で、散歩がてら街に出よう。調理に使う食材の買い物もその時に」
遠慮するのが当然なのだと、頭にありつつも。
レナード公爵が思い出を懐かしんでいるのを、私が分断してしまうのもどうかと考えて。
「はい、ご一緒いたします」
そう答えて、私は微笑んだ。
戸惑いつつ、執務室のドアをノックする。
『はい』
「エマです。お待たせいたしました」
勝手にドアを開けることはできないので、レナード公爵の指示を待つ。
「さぁ、入って。一緒に食べよう」
「えっ? あ、はい、失礼いたします」
招かれて中に入ると、運び込まれたばかりなのか、湯気の立つ食事がセットされていた。
「いま届いたばかりだよ。温かいうちに食べようか」
『どうぞ』と椅子を引かれ、座らないわけにもいかず静かに座った。
「あの、公爵様・・今日お休みを取られたのは・・」
「あー・・うん・・。もしエマ嬢が良ければ、今日一日、一緒にいられたら・・と、思って・・」
「えっ?」
「まずは・・食べないか? 冷めないうちに」
視線をそらしたレナード公爵の頬が赤いように見える。
それが伝染したのか、なんだか私までドキドキしてきた。
お互いに無言で食べ進めていたものの、先にレナード公爵がナイフとフォークをテーブルに置く。
「従者たちと今日も調理するというのを聞いて、正直、羨ましかったんだ。それで、せめて近くで見たいと思い、午後は家で執務したいとカイルに言ったんだが・・」
「え・・羨ましい・・というのは・・」
「私は、厨房に立つ祖母と話をするのがとても好きだった。作るのを見るのも、時々手伝わせてもらうのも好きだったんだ。だから、懐かしさと同時に羨ましくなって・・。
後で、散歩がてら街に出よう。調理に使う食材の買い物もその時に」
遠慮するのが当然なのだと、頭にありつつも。
レナード公爵が思い出を懐かしんでいるのを、私が分断してしまうのもどうかと考えて。
「はい、ご一緒いたします」
そう答えて、私は微笑んだ。