公爵の想い人は、時空を越えてやってきた隣国のパティシエールでした
「実はね、私の友人であるカレンとご主人が、ロルバーン伯爵の策略で隣国に追放されてしまったの」
ロルバーン伯爵・・。
私を『粉にまみれるような妃殿下』と言った、あの男ね。
「カレンの夫は平民で菓子職人だったのだけれど、とても優しい人で、作るお菓子もとても美味しかったの。この領地でも人気の菓子店だったわ。
たまたま邸に遊びに来ていたカレンを連れてお店に行ったら、お互いに一目惚れしてしまったようで・・。ふふ」
昔を思い出したのか、伯母様はやわらかく微笑む。
それにしても・・・・そこからロルバーン伯爵にどう繋がるのだろう。
「大恋愛の末に結ばれたのは良いのだけれど、実は、カレンはロルバーン伯爵の婚約者候補でもあったのよ。ロルバーン伯爵はカレンに恥をかかされたと憤慨したようだけど、皇都にいないカレンには届かなかった。
けれどそこから何十年も経って、地位も名誉も手に入れたロルバーン伯爵の視界にふたりが入ってしまったの。皇妃陛下のお誕生祝いに献上するお菓子に選ばれて、王宮へ出向いたことで・・・・」
そこから先は辛い展開なのだろう。
伯母様は俯いてしまった。
まぁ察するに、ロルバーン伯爵が昔の腹いせで、ふたりを国外に飛ばしたということよね。
なんて器の小さい男。
いつか、懲らしめてやりたい。
とはいえ、フツフツと湧く怒りは一旦胸にしまい、まずは伯母様を含めたこの邸のみんなを元気にしたい。
「伯母様、辛いことを思い出させてしまってごめんなさい。お詫びに、美味しいフィナンシェを作らせてください」
そう言って、私はトランクから使い慣れたエプロンを取り出した。
「ルイス、もし良ければ一緒に来てくれないかしら。重いものやオーブンの開け閉め、届かない棚があれば助けてほしいの」
「もちろんです。私にできることは何でもお手伝いいたします」
ルイスは私のトランクを持ち上げ、伯母様の後について厨房に向かった。
ロルバーン伯爵・・。
私を『粉にまみれるような妃殿下』と言った、あの男ね。
「カレンの夫は平民で菓子職人だったのだけれど、とても優しい人で、作るお菓子もとても美味しかったの。この領地でも人気の菓子店だったわ。
たまたま邸に遊びに来ていたカレンを連れてお店に行ったら、お互いに一目惚れしてしまったようで・・。ふふ」
昔を思い出したのか、伯母様はやわらかく微笑む。
それにしても・・・・そこからロルバーン伯爵にどう繋がるのだろう。
「大恋愛の末に結ばれたのは良いのだけれど、実は、カレンはロルバーン伯爵の婚約者候補でもあったのよ。ロルバーン伯爵はカレンに恥をかかされたと憤慨したようだけど、皇都にいないカレンには届かなかった。
けれどそこから何十年も経って、地位も名誉も手に入れたロルバーン伯爵の視界にふたりが入ってしまったの。皇妃陛下のお誕生祝いに献上するお菓子に選ばれて、王宮へ出向いたことで・・・・」
そこから先は辛い展開なのだろう。
伯母様は俯いてしまった。
まぁ察するに、ロルバーン伯爵が昔の腹いせで、ふたりを国外に飛ばしたということよね。
なんて器の小さい男。
いつか、懲らしめてやりたい。
とはいえ、フツフツと湧く怒りは一旦胸にしまい、まずは伯母様を含めたこの邸のみんなを元気にしたい。
「伯母様、辛いことを思い出させてしまってごめんなさい。お詫びに、美味しいフィナンシェを作らせてください」
そう言って、私はトランクから使い慣れたエプロンを取り出した。
「ルイス、もし良ければ一緒に来てくれないかしら。重いものやオーブンの開け閉め、届かない棚があれば助けてほしいの」
「もちろんです。私にできることは何でもお手伝いいたします」
ルイスは私のトランクを持ち上げ、伯母様の後について厨房に向かった。