もう一度、この愛に気づいてくれるなら
その夜、ゲルハルトはやはりエレーヌの寝室を訪れてきた。
エレーヌは寝たふりをしたが、背中からゲルハルトに抱きしめられて、息を止めた。
「エレーヌ?」
(ゲルハルトさまに起きていることを気づかれてしまったかしら)
ゲルハルトは顔を覗き込んできた。
エレーヌは必死で目を閉じるも、ゲルハルトが脇をくすぐってきた。
「くふふっ」
エレーヌが笑うと、ゲルハルトも「ふははっ」と笑った。
(もう、くすぐり返してやるわ)
エレーヌが振り返って手を上げると、ゲルハルトはその手を掴んできた。そして、エレーヌの両手をシーツに押し付けた。
ゲルハルトの唇がエレーヌに降りてくる。
エレーヌは目を閉じて受け止めた。