もう一度、この愛に気づいてくれるなら
ディミーは馬車を見送りながら、心の中でほくそ笑んでいた。
(良かったわ、私はここで解放されて。あの子の末路まで見せられたら、さすがに罪悪感が湧くものね。これからあの子の向かう先は……)
ディミーはしかし、乗り合い馬車に乗り込んだ直後、目から涙があふれてきた。嗚咽が込み上げる。
(ごめんなさい、ゲルハルトさま……、エレーヌさま……、私はひどいことを………。愛し合う二人の仲を引き裂いて……、これから、ゲルハルトさまは、エレーヌさまを永遠に失うことになる……)
一時的な感傷に涙を流すも、顔を上げて次に外の光景を見たときには、また、ディミーは、ほくそ笑んだ。
(どうせ、あの子に王妃は務まらなかったわ。私は、ゲルハルトさまのためにも良いことをしたんだわ)