もう一度、この愛に気づいてくれるなら

マリーの出産は喜びごととして祝いが開かれた。

エレーヌの姿がないことはどの貴族の口端にものぼらなかった。ゲルハルトが言及しない以上、誰も口にできなかった。

みな、その場で、マリーの出産を喜ぶのみだった。ただ一人、別のことを喜ぶ者がいた。

(エレーヌ、ようやくいなくなってくれた。ディミーを差し向けた甲斐があったというもの)

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