虐げられてきたネガティブ令嬢は、嫁ぎ先の敵国で何故か溺愛されています~ネガティブな私がちょっぴりポジティブになるまで~

「よおうこそぉ!!ルプス帝国へ!!クラリス王女!!!」
「…………へ???」


 ゼウラウス国王は大きく手を広げてこちらにやってきた。

 そうしてそのまま私を抱きしめると、優しくぎゅっとしてくれた。

 事態ののみ込めない私は、ただただポカンとするばかり。


「もうっ!貴方、ずるいじゃないのぉ!私もぎゅっとさせて!」


 ミラ王妃もぱたぱたとやってきて、私にぎゅっとハグをする。

 そこに慌てたようにリビアが割って入る。


「国王様!王妃様!クラリス様が戸惑っていらっしゃいます!まずはスキンシップなしでご挨拶を!」


 リビアの言葉に、ゼウラウス国王とミラ王妃は楽しそうに笑う。


「はっはっは!そうだったそうだった!いかんいかん。驚かせたなぁ!」


 快活に笑うゼウラウス国王に、「やだぁ!クラリスちゃんが可愛くてつい!」とミラ王妃も笑っている。


「???????」


 一方私の頭の中ははてなマークでいっぱいである。

 これはいったいなに?どういう状況なの……?


「いやあ久しぶりだな、クラリス王女。幼少期に一度会ってからはご無沙汰だった」
「小さい頃から可愛かったけれど、こんなに綺麗になっているなんて!」

「レオもようやくクラリス王女に会えて喜んでおるわい」

 そうゼウラウス国王に言われて、咄嗟にレオナルド殿下の顔を見るけれど、相変わらず私を睨みつけるように鋭い視線を向けていた。

 いやどう見ても全然喜んでない……!!

 国王と王妃は嬉しそうに笑う。

 事態がまったくのみ込めない。

 ごほん、と慌ててそれらしく咳払いをしたゼウラウス国王は、ゆっくりと話し出す。


「クラリス王女、長旅ご苦労であった。アレス国からは遠かったであろう」

「あ、い、いえ…」

「先の交渉により、我が国へと嫁ぐ決意をしてくれたこと、大いに感謝している」

「え?はぁ…」

「レオナルドはシャイでな。なかなか結婚相手も見つからず、やきもきしていたのだ。そんな折、クラリス王女が来てくれるとサビウスから聞いて、ルプス一同楽しみにしていたのだ」

「たの、しみ……?」


 なんだか我が国での情報とは違うように思う。


「お、恐れながら、申し上げます…」


 私が恐る恐る口を開くと、「おお、なんだ。申してみよ」とゼウラウス国王は寛大に私の言葉を聞いてくれる姿勢をとった。

< 11 / 27 >

この作品をシェア

pagetop