虐げられてきたネガティブ令嬢は、嫁ぎ先の敵国で何故か溺愛されています~ネガティブな私がちょっぴりポジティブになるまで~
ぼーっとしている間に自室へと到着。
部屋の掃除やベッドメイキングをしてくれていたリビアが、私を抱えて入ってきたレオナルド殿下に驚いて声を上げる。
「殿下!?それに、クラリス様っ!」
「リビア、ちょうどいい。彼女に白湯と薬を用意してくれ」
「は、はい!」
レオナルド殿下の指示を受け、リビアはぱたぱたと慌てて支度を始める。
その様子をぼんやり眺めていると、私の身体がふかふかのベッドに横たえられた。
「今日は無理をさせてしまったな…悪かった」
私は小さく首を横に振る。
「クラリス様、お薬です」
「ありがとう、ございます、リビア…」
温かなお湯で薬を喉に流し込むと、すぐに眠気がやってきた。
「おやすみ、クラリス」
そう愛おしそうに呟くレオナルド殿下の声を聞きながら、私は目を閉じる。
意識を手放す瞬間、唇になにか柔らかく温かいものが触れて、同時にリビアの「きゃっ!」みたいな可愛い声が聞こえた気がした。
目が覚めると辺りはもうすでに明るく、日が高そうだった。
どうやら丸一日眠ってしまっていたらしい。
酷かった頭痛はすっかり消え去り、なんだか頭もスッキリしていて、清々しい気分だった。
ん~っと大きく伸びをしたとき、ちょうど部屋がノックされ、リビアが入ってきた。
「クラリス様、お目覚めでしたか」
「あ、ちょ、ちょうど今起きたところで…」
「お加減はいかがでしょうか?昨日よりはとても顔色が良いように見受けられます」
「ありがとう、お陰様でもうすっかり元気です」
「良かったです!」と笑顔を浮かべるリビアは、今日も相変わらず聖母のようである。