虐げられてきたネガティブ令嬢は、嫁ぎ先の敵国で何故か溺愛されています~ネガティブな私がちょっぴりポジティブになるまで~

「しばらくはゆっくり休むようにと、レオナルド殿下から仰せつかっております」

「そ、そうですか…」


 レオナルド殿下、とリビアの口からお名前を聞いただけで、何故か私の心臓がドキリと跳ねた。


「えっと、レオナルド殿下は、本日はどちらに?」

「城内にいらっしゃいますよ~」

「そ、そう…」


 なんとなくレオナルド殿下にお会いするのが恥ずかしかった。

 私に好意を寄せ、本当に妻に迎える気のようだし、そのような男性に会ったことのない私は、殿下とどう接して良いのか、よく分からなかった。

 というか、本当の本当に?

 本当に私が、このルプス帝国の第一王子であるレオナルド殿下と結婚を?

 未だに信じられない。

 処刑されるどころか、愛の告白。そして私が普通の人であるかのような、幸せな婚姻生活が目の前に迫っている。


「本当に、私なんかで…」

「クラリス様…?どうかされましたか?」


 私の呟きに可愛らしく小首を傾げるリビア。


「あ、ええと…、私なんかが、本当にレオナルド殿下の妻になってしまっても良いものかと…」


 尻つぼみになりながらもごもごと伝えると、リビアは驚いたように目を見開いた。


「なにを仰っているのですか!レオナルド殿下にクラリス王女!とてもお似合いのお二人ではないですか!」

「そう、でしょうか…。小さな隣国の第三王女であり、なんの取柄もない私なんかが、大国であるルプスの第一王子、軍事部隊隊長のレオナルド殿下と、釣り合うとは到底思えないのですが…」


 言っていて悲しくなるけれど、これは紛れもない事実である。

 私と殿下では、釣り合わない。

 きっと誰しもがそう言うに違いないし、それによってルプスの評判が落ちるようなことになったら、きっと今度こそ処刑されるに違いない…。

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