魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
20 心に棲む人
『レナール。もし、僕がアリーセ嬢と婚約するって言ったらどうする?』
あれは聖女を公表する準備を進めていたときのことだ。
準備を進めていく中で、そんなことを聞いてきたユーグに、レナールはがんと頭を殴られたような衝撃をうけた。
『は?』
『そのままだよ。陛下が僕にアリーセ嬢と婚約するのはどうかって勧めてきたんだ』
アリーセの持っている聖属性の魔法は貴重なものだ。王家として豊穣魔法を使うつもりはないようだけれど、でもそれ以外にも聖属性の魔法は役に立つ機会が山ほどある。囲っておこうと考えても無理はない。アリーセは移民だけれど、身分など適当な貴族の養女にしてもらえば取り繕うことは可能だ。
『だめだ』
気づけばレナールは強い口調でそう言っていた。
『どうして? 僕は婚約者はいないし、身分についてなんて、それこそどうとでもなるよ』
『それは……』
レナールは言葉に詰まった。何故、ユーグにアリーセと婚約してほしくないのか。王妃という重荷を背負ってほしくないから? それは違う気がした。
ただただ面白くない。アリーセの隣に、自分ではなく他の男が立つなんて許せない。
(――今、俺はなんと思った?)
レナールは自然と進んでいった思考に固まる。
何故、彼女の隣に他の男が並ぶと面白くないのだ? アリーセだって年頃の少女だ。恋くらいするだろう。なのに。
嫌だ、と心の中の自分が叫ぶ。彼女の隣に立つ男は自分だと。
ああそうか。ふいにレナールは自分の心の奥底に眠っていた感情に気づいた。
あれは聖女を公表する準備を進めていたときのことだ。
準備を進めていく中で、そんなことを聞いてきたユーグに、レナールはがんと頭を殴られたような衝撃をうけた。
『は?』
『そのままだよ。陛下が僕にアリーセ嬢と婚約するのはどうかって勧めてきたんだ』
アリーセの持っている聖属性の魔法は貴重なものだ。王家として豊穣魔法を使うつもりはないようだけれど、でもそれ以外にも聖属性の魔法は役に立つ機会が山ほどある。囲っておこうと考えても無理はない。アリーセは移民だけれど、身分など適当な貴族の養女にしてもらえば取り繕うことは可能だ。
『だめだ』
気づけばレナールは強い口調でそう言っていた。
『どうして? 僕は婚約者はいないし、身分についてなんて、それこそどうとでもなるよ』
『それは……』
レナールは言葉に詰まった。何故、ユーグにアリーセと婚約してほしくないのか。王妃という重荷を背負ってほしくないから? それは違う気がした。
ただただ面白くない。アリーセの隣に、自分ではなく他の男が立つなんて許せない。
(――今、俺はなんと思った?)
レナールは自然と進んでいった思考に固まる。
何故、彼女の隣に他の男が並ぶと面白くないのだ? アリーセだって年頃の少女だ。恋くらいするだろう。なのに。
嫌だ、と心の中の自分が叫ぶ。彼女の隣に立つ男は自分だと。
ああそうか。ふいにレナールは自分の心の奥底に眠っていた感情に気づいた。