魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
 王宮に戻ったアリーセは、念のために医者にみてもらうことになった。ミンディに叩かれた箇所が少し晴れているのと、縛られた箇所にわずかな擦過傷はあったものの、それ以外は健康そのものだ。
 ただ、精神的なショックもあるだろうということで、ゆっくり休みなさい、と言われる。

 アリーセを攫った男は騎士に大人しく捕まったらしい。取り調べはこれからだ。ブラッツが動いてくれると言うし、誰がアリーセを狙ったのかは、そのうち明らかになるだろう。
 部屋まで運んでもらった夕食を食べ終わり、部屋で休んでいると、こんこんと扉がノックされた。
 扉を開けると、ジギワルドが立っていた。その後ろではレナールが苦い顔を浮かべている。

「ジギワルド様」
「あなたが攫われたと聞いて、様子を見たかったんだ。とりあえず無事でよかったよ」

 ジギワルドが小さく微笑んだ。

「今、話をしてもいいかな。アリーセ。そのために、彼にも声をかけたんだ」

 ちらりとジギワルドがレナールに視線を向ける。
 話というのは、おそらく監視者のこと。
 アリーセはごくりとつばを呑んだ。
 知りたかったことが知れるのかもしれない。

「わかりました」

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