魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
22 幸せを祈る
ジギワルドが選んだのは客室の近くにあるテーブルがいくつかある談話室だった。ジギワルドとアリーセが同じテーブルに着き、レナールが少し離れたところに座る。
「我が国の機密にかかわることだからね。ただ、二人きりで話すのは体裁が悪い。それに、彼がいた方があなたも安心だろう」
レナールは苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「まずは今日の件なんだけれど、元はといえば誰かが私の名前を騙ってクンケル侯爵令嬢をそそのかしたことが原因のようだ。本当にすまない」
「――本当にジギワルド様は名前を使われただけなんですよね」
「もちろんだよ」
ジギワルドは気を悪くした様子もなく、うなずいてくれた。
彼の翡翠の目はまっすぐにアリーセを見つめている。嘘ではなさそうだ。
立場上、ジギワルドがアリーセに話していないことはたくさんあるだろう。けれども、彼の優しさまでが偽物だったとは思わない。なんだかんだで、アリーセはジギワルドを信頼している。
「ただ、私も今回の件には監視者が関わっていると思う」
ジギワルドが断言したのでアリーセは驚いた。
「監視者は、ジギワルド様の身内のようなものですよね。そう思う理由があるのですか?」
「まあね。監視者は一枚岩じゃない。それより、あなたが知りたいのは――贖罪についてだろう?」
ジギワルドの方から切り出してくれるとは思わなかった。
「はい。そうです。教えていただけるんですか?」
「ああ。あなたは真実を知るべきだと思う。あなたの予想通り贖罪というのは口実だ。ただ、贖罪から始まったことは確かなんだ。そして、あなたもベルタも、アミエルの惨劇を引き起こした魔女の一族の子孫だ」
「――え?」
まさか、そんなつながりがあったとは。
「もともとラウフェンは魔法が盛んな土地ではなかったらしい。アミエルの惨劇を起こした魔女は、そんなラウフェンに魔法を広めたいと研究していた魔女だった。特にロストに詳しくて、あなたが祈りを捧げていたロストも、彼女がメンテナンスをしたものだ。だが、彼女はある日誤ってロストを暴走させてしまう。それがかの有名なアミエルの惨劇だ」
「我が国の機密にかかわることだからね。ただ、二人きりで話すのは体裁が悪い。それに、彼がいた方があなたも安心だろう」
レナールは苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「まずは今日の件なんだけれど、元はといえば誰かが私の名前を騙ってクンケル侯爵令嬢をそそのかしたことが原因のようだ。本当にすまない」
「――本当にジギワルド様は名前を使われただけなんですよね」
「もちろんだよ」
ジギワルドは気を悪くした様子もなく、うなずいてくれた。
彼の翡翠の目はまっすぐにアリーセを見つめている。嘘ではなさそうだ。
立場上、ジギワルドがアリーセに話していないことはたくさんあるだろう。けれども、彼の優しさまでが偽物だったとは思わない。なんだかんだで、アリーセはジギワルドを信頼している。
「ただ、私も今回の件には監視者が関わっていると思う」
ジギワルドが断言したのでアリーセは驚いた。
「監視者は、ジギワルド様の身内のようなものですよね。そう思う理由があるのですか?」
「まあね。監視者は一枚岩じゃない。それより、あなたが知りたいのは――贖罪についてだろう?」
ジギワルドの方から切り出してくれるとは思わなかった。
「はい。そうです。教えていただけるんですか?」
「ああ。あなたは真実を知るべきだと思う。あなたの予想通り贖罪というのは口実だ。ただ、贖罪から始まったことは確かなんだ。そして、あなたもベルタも、アミエルの惨劇を引き起こした魔女の一族の子孫だ」
「――え?」
まさか、そんなつながりがあったとは。
「もともとラウフェンは魔法が盛んな土地ではなかったらしい。アミエルの惨劇を起こした魔女は、そんなラウフェンに魔法を広めたいと研究していた魔女だった。特にロストに詳しくて、あなたが祈りを捧げていたロストも、彼女がメンテナンスをしたものだ。だが、彼女はある日誤ってロストを暴走させてしまう。それがかの有名なアミエルの惨劇だ」