魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
4 アリーセの選択
そこからの青年の活躍はすさまじかった。
玄関ホールは、騎士と傭兵たちの戦いの場になっていた。
この屋敷の主人であるギャロワはかなりの数の私兵を雇っていたようだ。
そして、アリーセはギャロワの扱う「商品」だ。それもとびきりの。当然、アリーセを取り戻すために私兵たちは動く。
青年は、そんな男たちをあっという間に倒してしまう。彼は剣もかなり使えるようだ。見ていてハラハラするようなことがない。魔法を使わないのは、人が多く味方を巻き込む可能性があるからだろう。
アリーセは必要であれば魔法を使う覚悟もしていたが、そんな隙など全然なかった。
青年は、この場で戦っている人間の中で一番強いと言ってもいいのではないだろうか。アリーセという枷があるにも関わらず、あっさりと男たちを倒していく。
アリーセはわけがわからないまま、いつのまにか青年に手を引かれて混戦状態となっていた玄関ホールを抜け出していた。そのまま外に待機していた騎士に引き渡される。
青年にはまだやることがあるらしく、騎士にピリエ語で何かを言うと、すぐにきびすを返そうとする。アリーセは慌てて呼び止めた。
「あの、ありがとうございます。私はアリーセといいます。その、お名前だけでも教えてください」
アリーセの声が必死だったからだろうか。彼は足をとめて振り返ってくれた。ほんのわずかに口元を緩めて、短く告げる。
「レナール・シェルヴェです」
走り去る彼の後ろ姿を眺めながら、アリーセは教えてもらった名前を心の中で呟いて、彼の無事を祈った。
玄関ホールは、騎士と傭兵たちの戦いの場になっていた。
この屋敷の主人であるギャロワはかなりの数の私兵を雇っていたようだ。
そして、アリーセはギャロワの扱う「商品」だ。それもとびきりの。当然、アリーセを取り戻すために私兵たちは動く。
青年は、そんな男たちをあっという間に倒してしまう。彼は剣もかなり使えるようだ。見ていてハラハラするようなことがない。魔法を使わないのは、人が多く味方を巻き込む可能性があるからだろう。
アリーセは必要であれば魔法を使う覚悟もしていたが、そんな隙など全然なかった。
青年は、この場で戦っている人間の中で一番強いと言ってもいいのではないだろうか。アリーセという枷があるにも関わらず、あっさりと男たちを倒していく。
アリーセはわけがわからないまま、いつのまにか青年に手を引かれて混戦状態となっていた玄関ホールを抜け出していた。そのまま外に待機していた騎士に引き渡される。
青年にはまだやることがあるらしく、騎士にピリエ語で何かを言うと、すぐにきびすを返そうとする。アリーセは慌てて呼び止めた。
「あの、ありがとうございます。私はアリーセといいます。その、お名前だけでも教えてください」
アリーセの声が必死だったからだろうか。彼は足をとめて振り返ってくれた。ほんのわずかに口元を緩めて、短く告げる。
「レナール・シェルヴェです」
走り去る彼の後ろ姿を眺めながら、アリーセは教えてもらった名前を心の中で呟いて、彼の無事を祈った。