魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
レナールがすぐざまきっぱりと言葉を返した。断られるものだと思っていたアリーセは驚いてしまう。
『その、無理はしなくても大丈夫ですよ』
『無理はしていません。ただ、ユーグ殿下の得意げな顔が気に入らなかっただけです。あなたに不愉快な思いをさせていたら申し訳ありません』
憮然としたレナールはちらりと隣のユーグに恨めしげな視線を送る。が、ユーグは悪びれずににっこりと笑った。
『じゃあ、レナールがアリーセ嬢の後見人で決まりだね。それでアリーセ嬢のこれからなんだけど……』
あれよあれよと話がまとまっていく。そこにアリーセの口を挟む隙などなく、気づけばアリーセはレナールの屋敷に滞在しながら、彼の助手として働くことが決まっていた。レナールは非常勤の王宮魔法使いでもあるのだという。
――なんだか夢みたいだな、と馬車に揺られながらアリーセは思う。
ほんの数日前までは、あの森の中の家で一生を過ごすと思っていたのに。
「もうすぐ王都ですよ。アリーセ」
窓の外を見つめているアリーセにレナールが言った。不安げな顔をしていたからだろうか。レナールが励ましてくれる。
「――ピリエでは魔法使いは尊重される存在です。心配することはありません」
はい、とアリーセはレナールの方を向いた。
言葉もわからない場所で始まる新しい生活。もちろん不安も多い。
けれど、それ以上に希望の方が大きいことをアリーセは感じていた。
『その、無理はしなくても大丈夫ですよ』
『無理はしていません。ただ、ユーグ殿下の得意げな顔が気に入らなかっただけです。あなたに不愉快な思いをさせていたら申し訳ありません』
憮然としたレナールはちらりと隣のユーグに恨めしげな視線を送る。が、ユーグは悪びれずににっこりと笑った。
『じゃあ、レナールがアリーセ嬢の後見人で決まりだね。それでアリーセ嬢のこれからなんだけど……』
あれよあれよと話がまとまっていく。そこにアリーセの口を挟む隙などなく、気づけばアリーセはレナールの屋敷に滞在しながら、彼の助手として働くことが決まっていた。レナールは非常勤の王宮魔法使いでもあるのだという。
――なんだか夢みたいだな、と馬車に揺られながらアリーセは思う。
ほんの数日前までは、あの森の中の家で一生を過ごすと思っていたのに。
「もうすぐ王都ですよ。アリーセ」
窓の外を見つめているアリーセにレナールが言った。不安げな顔をしていたからだろうか。レナールが励ましてくれる。
「――ピリエでは魔法使いは尊重される存在です。心配することはありません」
はい、とアリーセはレナールの方を向いた。
言葉もわからない場所で始まる新しい生活。もちろん不安も多い。
けれど、それ以上に希望の方が大きいことをアリーセは感じていた。