魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
その日もアリーセはレナールの研究室で一人学習を進めていた。
王宮魔法使いの試験勉強と並行して、浄化魔法の練習もしている。聖属性の魔法の初歩と言われる魔法だ。
小さな透明なボウルの中に入っているのは、泥で濁った水だ。その水を浄化魔法できれいにする。が、これがなかなか難しい。
レナールに教わった魔力制御を思い出しながら、アリーセは呪文を唱える。
白い光がボウルを包み込み――消えた。茶色だった水は薄茶色くらいに変化している。成功とも失敗とも言えない微妙な結果。
(もう少しうまくいくと思ったんだけどなあ。あとでレナール様に聞いてみよう)
大分改善されたはずの燃費の悪さだが、浄化魔法はまた別らしい。
レナールは聖属性を持たないけれど、アドバイスくらいはくれるはず。
そう。アリーセが持っていたらしい聖属性の魔力。これはかなり貴重なものだという。なんでも聖属性を持つ女性は、聖女という恐れ多い名前で呼ばれるのだとか。
レナールが魔力について調べてくれて、大体確定したのは一週間ほど前の話だ。
そんな貴重な力が自分に眠っていたのは驚きだが、困るのは情報が少ないことだ。使い手が少ない魔法なので、その分資料も少ない。レナールの蔵書の中にあった古い本一冊が、今のアリーセの頼りだ。
当面の目標は、浄化魔法をマスターすること。
薄茶色になった泥水とにらめっこをしていると、レナールが研究室に戻ってくる。今日は補佐官としての勤務の日だ。まだ終業時刻には二時間ほどあるのにどうしたんだろう。
レナールはわかりやすくむすっとした顔をしている。迎えるために立ち上がったままアリーセが声をかけようか迷っていると、レナールの後ろから声がした。
王宮魔法使いの試験勉強と並行して、浄化魔法の練習もしている。聖属性の魔法の初歩と言われる魔法だ。
小さな透明なボウルの中に入っているのは、泥で濁った水だ。その水を浄化魔法できれいにする。が、これがなかなか難しい。
レナールに教わった魔力制御を思い出しながら、アリーセは呪文を唱える。
白い光がボウルを包み込み――消えた。茶色だった水は薄茶色くらいに変化している。成功とも失敗とも言えない微妙な結果。
(もう少しうまくいくと思ったんだけどなあ。あとでレナール様に聞いてみよう)
大分改善されたはずの燃費の悪さだが、浄化魔法はまた別らしい。
レナールは聖属性を持たないけれど、アドバイスくらいはくれるはず。
そう。アリーセが持っていたらしい聖属性の魔力。これはかなり貴重なものだという。なんでも聖属性を持つ女性は、聖女という恐れ多い名前で呼ばれるのだとか。
レナールが魔力について調べてくれて、大体確定したのは一週間ほど前の話だ。
そんな貴重な力が自分に眠っていたのは驚きだが、困るのは情報が少ないことだ。使い手が少ない魔法なので、その分資料も少ない。レナールの蔵書の中にあった古い本一冊が、今のアリーセの頼りだ。
当面の目標は、浄化魔法をマスターすること。
薄茶色になった泥水とにらめっこをしていると、レナールが研究室に戻ってくる。今日は補佐官としての勤務の日だ。まだ終業時刻には二時間ほどあるのにどうしたんだろう。
レナールはわかりやすくむすっとした顔をしている。迎えるために立ち上がったままアリーセが声をかけようか迷っていると、レナールの後ろから声がした。