魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
ブラッツは申し訳なさそうに部屋を出て行った。王太子という立場上、やることが山ほどあるのだろう。
ブラッツが消えた部屋で、まず口を開いたのはレナールだった。
「まずロストの状態を確認してもいいですか?」
「もちろんです。私のことは気にせず進めてください。鑑定のためなら基本的に何をしていただいてもかまわないとのことです」
レナールの問いかけに、フィンは表情を動かさず答える。
基本的にフィンは隣の部屋で仕事をするらしい。が、最初なので作業の様子を見てみたいという。レナールはそれを承諾した。
「ロストの鑑定は、魔法回路を読み解くことで行います」
フィンに解説しつつ、レナールが手際よく魔法回路を隠していた板を外す。
「これは……なかなかだな」
現れた魔法回路は、予想はしていたが――真っ黒だった。
デュラックのロストもかなり黒ずんでいたが、こちらのロストはそれ以上だった。黒ずみが魔法回路全体に広がっている。魔法回路の模様すらほぼわからなくなっている。
「これほどの状態は久しぶりに見たな。だいぶ放置されていたんだろう」
レナールが顎に手を当てて、半ば感心したように呟く。
「さっそく浄化しますか?」
アリーセが尋ねるとレナールは首を振った。
「いや、一応計測からだ。こんな状態は早々見ないから」
レナールがペン型の瘴気計測器を取り出す。アリーセは慌ててメモの準備をした。
ずいぶんと放っておかれていたらしい。数値は軒並み二百を超えていた。
ブラッツが消えた部屋で、まず口を開いたのはレナールだった。
「まずロストの状態を確認してもいいですか?」
「もちろんです。私のことは気にせず進めてください。鑑定のためなら基本的に何をしていただいてもかまわないとのことです」
レナールの問いかけに、フィンは表情を動かさず答える。
基本的にフィンは隣の部屋で仕事をするらしい。が、最初なので作業の様子を見てみたいという。レナールはそれを承諾した。
「ロストの鑑定は、魔法回路を読み解くことで行います」
フィンに解説しつつ、レナールが手際よく魔法回路を隠していた板を外す。
「これは……なかなかだな」
現れた魔法回路は、予想はしていたが――真っ黒だった。
デュラックのロストもかなり黒ずんでいたが、こちらのロストはそれ以上だった。黒ずみが魔法回路全体に広がっている。魔法回路の模様すらほぼわからなくなっている。
「これほどの状態は久しぶりに見たな。だいぶ放置されていたんだろう」
レナールが顎に手を当てて、半ば感心したように呟く。
「さっそく浄化しますか?」
アリーセが尋ねるとレナールは首を振った。
「いや、一応計測からだ。こんな状態は早々見ないから」
レナールがペン型の瘴気計測器を取り出す。アリーセは慌ててメモの準備をした。
ずいぶんと放っておかれていたらしい。数値は軒並み二百を超えていた。