魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
16 魔女という糾弾
昨日もそうだが、レナールはかなりジギワルドのことを警戒しているようだ。
レナールは確かに自ら愛想を売るタイプではないが、かといって無愛想なわけではなく、社交上の礼儀はきちんとわきまえている。なので、ここまで他人に直接的に反応を示すのは珍しい。
(ジギワルド様が唯一判明している監視者だから……?)
ジギワルドもおそらくレナールの様子に気づいているはずだ。しかし動じず、堂々と言った。
「子爵。アリーセと少し話がしたいのですが、彼女を借りても? 旧交を温めたいのです」
「いいじゃないですか。子爵。彼女にわからない話題ばかりしていて申し訳なかったところなので」
レナールが口を開く前に、ジギワルドの意図を感じ取ったのかそれともただ鈍感なだけなのか、デューラー侯爵が追随する。
「心配しなくても大丈夫ですよ。そうだな。あそこのバルコニーで話します。人の目があるでしょう?」
つまりアリーセに滅多なことはしないという意思表示だ。
おそらくジギワルドは自分の意思を通すまで引き下がるつもりはないだろう。この場をおさめる方法は一つしかない。
「わかりました。レナール様。私はジギワルド様とお話してきます」
「アリーセ」
レナールが名を呼ぶ声は咎めるようなどこか不安なような響きがあった。
アリーセはレナールの青い瞳をしっかり見つめて言い聞かせる。
「大丈夫です。すぐに戻ってきますから」
最後に小さく力を抜いて微笑んでみせれば、レナールの表情のこわばりがほんの少し解けた。
「ジギワルド様。少しだけお付き合いします」
昨日も彼は話があるようなそぶりを見せていた。用事があるなら早いところ終わらせておいた方がいいだろう。
「ありがとう。アリーセ」
ジギワルドが微笑んだ。
レナールは確かに自ら愛想を売るタイプではないが、かといって無愛想なわけではなく、社交上の礼儀はきちんとわきまえている。なので、ここまで他人に直接的に反応を示すのは珍しい。
(ジギワルド様が唯一判明している監視者だから……?)
ジギワルドもおそらくレナールの様子に気づいているはずだ。しかし動じず、堂々と言った。
「子爵。アリーセと少し話がしたいのですが、彼女を借りても? 旧交を温めたいのです」
「いいじゃないですか。子爵。彼女にわからない話題ばかりしていて申し訳なかったところなので」
レナールが口を開く前に、ジギワルドの意図を感じ取ったのかそれともただ鈍感なだけなのか、デューラー侯爵が追随する。
「心配しなくても大丈夫ですよ。そうだな。あそこのバルコニーで話します。人の目があるでしょう?」
つまりアリーセに滅多なことはしないという意思表示だ。
おそらくジギワルドは自分の意思を通すまで引き下がるつもりはないだろう。この場をおさめる方法は一つしかない。
「わかりました。レナール様。私はジギワルド様とお話してきます」
「アリーセ」
レナールが名を呼ぶ声は咎めるようなどこか不安なような響きがあった。
アリーセはレナールの青い瞳をしっかり見つめて言い聞かせる。
「大丈夫です。すぐに戻ってきますから」
最後に小さく力を抜いて微笑んでみせれば、レナールの表情のこわばりがほんの少し解けた。
「ジギワルド様。少しだけお付き合いします」
昨日も彼は話があるようなそぶりを見せていた。用事があるなら早いところ終わらせておいた方がいいだろう。
「ありがとう。アリーセ」
ジギワルドが微笑んだ。