女王陛下は溺愛禁止!
「結婚などしなくていいではないか」
「いけません。重大なお仕事のひとつでございます。陛下は御年二十七歳、適齢はとっくにすぎております。本来ならば十年も前には伴侶が決まっていてもおかしくはございませんのに」
ラドウィルトの言葉に、アンジェリアは顔をしかめた。
「仕方ないだろう、当時は王位を継いだばかり、すぐに叔父が謀反を起こして国は混乱、お前もよく知っているだろう」
「ええ、もちろん。あの件で出世して陛下の側仕えとなりましたから。私は前陛下にお誓いしました。アンジェリア陛下に善き夫と結婚していただき、立派な国王となっていただくと」
「お前は父に心酔しておったからな」
アンジェリアはふうっと息をつく。
「世継ぎなら甥っ子がいる。無理して私が結婚、出産しなくても大丈夫であろう」
「妹君の御子息ですね。赤子ながらに利発そうで元気なお子でいらっしゃいました」
「だろ? 自慢の甥だ。だからな、私は結婚などしなくていいと思うのだ」
「しかも、大公子息であり魔力のあるマリオン殿を父としているのだ。これほど良い後ろ盾はなかろう」
「それとこれとは違います」
ラドウィルトの返答にアンジェリアはまたためをつく。
魔力を持つ者は希少だった。魔力の発現の仕方はさまざま、遠視、透視、空中浮遊など。手を使わずに物を動かしたり、ときとして瞬間的に移動をする能力を持った者も過去にはいたという。
アンジェリアの先祖にも魔力を持つ者は多数いるが、アンジェリアにも妹にもその力はなかった。
マリオンは念じるだけでものを動かすことができるという。いつだったか、その力でものを浮かせてアンジェリアに見せてくれた。
「いけません。重大なお仕事のひとつでございます。陛下は御年二十七歳、適齢はとっくにすぎております。本来ならば十年も前には伴侶が決まっていてもおかしくはございませんのに」
ラドウィルトの言葉に、アンジェリアは顔をしかめた。
「仕方ないだろう、当時は王位を継いだばかり、すぐに叔父が謀反を起こして国は混乱、お前もよく知っているだろう」
「ええ、もちろん。あの件で出世して陛下の側仕えとなりましたから。私は前陛下にお誓いしました。アンジェリア陛下に善き夫と結婚していただき、立派な国王となっていただくと」
「お前は父に心酔しておったからな」
アンジェリアはふうっと息をつく。
「世継ぎなら甥っ子がいる。無理して私が結婚、出産しなくても大丈夫であろう」
「妹君の御子息ですね。赤子ながらに利発そうで元気なお子でいらっしゃいました」
「だろ? 自慢の甥だ。だからな、私は結婚などしなくていいと思うのだ」
「しかも、大公子息であり魔力のあるマリオン殿を父としているのだ。これほど良い後ろ盾はなかろう」
「それとこれとは違います」
ラドウィルトの返答にアンジェリアはまたためをつく。
魔力を持つ者は希少だった。魔力の発現の仕方はさまざま、遠視、透視、空中浮遊など。手を使わずに物を動かしたり、ときとして瞬間的に移動をする能力を持った者も過去にはいたという。
アンジェリアの先祖にも魔力を持つ者は多数いるが、アンジェリアにも妹にもその力はなかった。
マリオンは念じるだけでものを動かすことができるという。いつだったか、その力でものを浮かせてアンジェリアに見せてくれた。