女王陛下は溺愛禁止!
「そもそも、本当に神はいるのか?」
「さあ、証明した者はどこにもおりません」

「封印を解けないようにする儀式なんて、神がいないのなら、するだけ無駄じゃないのか? 魔力を持たない私が儀式をして意味があるのか?」
「いないという証明をした者もいませんからね、悪い神ならば封印しておくべきでしょう」

「まあ、悪神だという言い伝えだが……伝承の通りなら大した悪事もしてないように思うんだがな」
 祭壇の奥の壁にはステンドグラスがあり、きらきらと美しい光を室内になげかけている。この仕組みもまた不明だった。

 祭壇には石碑が設置されいた。それこそが悪神を封印しているという石碑だった。
 この石碑に王族の者が手を当てながら呪文を唱えることにより、封印を強化するのだ。それは王族にだけが可能な封印の強化であり、課された責務だった。

「やったことにして帰ってもバレないよな」
「私が見ておりますから。きちんと行ってください」
「そなたは真面目よな。結婚もしていないのに小姑がいる気分だ」
 アンジェリアは肩をすくめる。

「そう思うのでしたら、ちゃんと結婚してください」
「そうしたら小言を言わぬか?」
「姑のように言って差し上げます」
「意味ないじゃないか」
 アンジェリアはため息をついて石碑に手をついた。

「結婚に意味など感じない。いっそ舞踏会で宣言しよう。我は神にこの身を捧げる、とな」
 アンジェリアが言った直後、聖堂の封印から閃光が走った。
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