こじらせ美女は王子様の夢を見る
もう1人の王子様
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「ただいまー」
「ちょっと玲央!!!!!!」
「うっ、わ、びっくりした。何だようるせーな」
「あんた、何で言ってくれなかったの!?!」
「何を」
「隣に……
超イケメンが住んでるってこと!!!!」
「は?」
…遡ること数時間前。
玲央が、大学に行った後、
私は何もせずただソファに横になっていた。
朝の玲央の余韻に襲われながら…
ああ、にしてもいい体すぎた…。
あんなに成長してるなんて…。
男経験ゼロな私にはレベルが高すぎる…。
今さらながらに鼻血出そうだわ。
あの顔にあの体なんだから、やっぱり玲央は色んな女の子と……
ああ、考えるのやめよ。
"ピンポーン"
その時、鳴ったチャイムにドアを開ける。
「はーい、どちら様……で………」
「……あれ?玲央の部屋、ですよね?」
「………」
うっそ…
……超……カッコ…いい……
……王子様…みたい
「……あ、あの……」
「…あっ、はい!玲央の部屋です!」
「玲央、いないですか?」
「もう大学行っちゃって、もう少しで帰ってくると思うんですけど…あの、玲央のお友達、ですか?」
「俺この部屋の隣に住んでる橘颯太っていいます!玲央とは仲良くて、、あ、玲央の彼女さんですか?」
「え!?いや、違います!!全く!!!彼女なんてとんでもない!!"た・だ・の"友達で事情があって昨日からここに住まわせてもらってて、、」
「あ、そうなんですね、!あの、お名前とか聞いていいですか?」
「桜井ミナっていいます!」
「ミナさん、これからよろしくお願いします」
そう言うと、颯太さんは爽やかな顔で笑った。
身長たっか!顔ちっさ!
心なしかいい匂いするし…
「こちらこそよろしくお願いします」
私は今できる満遍の笑みを浮かべた。
颯太君は玲央と同じ大学で同じ学科らしい。
私とも同い年だということがわかった。
「ああ、颯太?会ったんだ」
「あんたが教えてくれてれば、私はどすっぴんのやる気ない顔で颯太くんに会わなくて済んだのに!!!第一印象がどれだけ大事だって思ってんの!?はぁ、もう最悪」
「は?颯太くん?」
「何よ」
「お前さ、大してまだ仲良くもないくせに颯太くんとか呼ぶなよ」
「今日仲良くなったもん。LINEも交換したし今度東京案内してくれるって!」
「はぁ?!」
いきなり大声を出す玲央に体がビクッとなった。
「ちょ、声でか」
「今日初めて会ったばっかの相手だろ?もうちょっと危機感持てよ」
「気をつけるも何も、玲央の友達なんでしょ?安心じゃん。それに颯太くんは絶対いい人だよ!イケメンだし!」
「……はぁ、もう好きにしろ」
諦めたようにため息をついた玲央は「風呂入る」と言って浴室にむかった。
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