こじらせ美女は王子様の夢を見る
意識




「んん、」






目を開けると、玲央の綺麗な顔が目に入る。






玲央って寝顔も綺麗なんだー






初めて見た








って、え?





「ッギャーーーー!」






朝で乾燥した喉を悲鳴で無理矢理こじ開けた。






「…チッ、んだよ。うっせーな。」






玲央は機嫌が悪そうな顔でそう言うと布団を引っ張りまた寝ようとする。





「ちょちょちょ、なにこれ。なんで一緒に寝てんの?」






速やかに説明を要求したい。






じゃなきゃ、よからん考えが頭をよぎって…







「は?お前が誘ってきたんだろ」



「…さ、誘っ…!?」



「俺をベッドに連れ込んでさ」






なにそれ





誰が?




何を?




何に?





うそでしょ…





幸い服は着てるみたいだけど





ほんとに?一線超えちゃったわけ?





「 あーんなに熱い夜だったのにほんとに覚えてねーんだ?」





玲央の言葉にさらに私の顔は茹で蛸のように赤くなるのがわかる。






「…うそだ、うそだ、こんなの」






こんなにあっさり私は処女を捨ててしまったのか






東京にきて数日だよ?






…ごめんママ。こんなはしたない娘に…








「プッ、ふはははは」








……まさか、この男





「ごめんごめん、冗談だって。ぷっ、まさか信じるとは、あー朝から笑った」






…ありえない。






「最低!!最悪!!信じらんない!」



 


私は出せる限りの力をこめて玲央を叩く。





なんなの。





まじで笑い事じゃない。






だって、一瞬でも想像してしまった。






玲央と"そう"なったところを。






そんな自分が恥ずかしくて、顔が赤くなるのがわかる。






当の本人は叩かれてるのに余裕な顔。






…むかつく。






「……ッちょ、」






その時玲央の大きい手が叩いていた私の手を掴んだ。






「でもさ、寝ぼけたミナが俺をベッドに連れ込こんだのはほんとだよ」




「…そんなわけ……」



「ある」






ドン、と言う音と一緒に私はベッドに倒れ込んだ






いや、この表現は違う。






…礼央に押し倒された。






「こんな簡単に押し倒されてさ、反抗もできないのに俺に怒るんだ。むしろ手出さなかったの褒めてほしいんだけど?」



「……ッ」






声が、出ない





なに、この玲央





…知らない。





玲央との顔の距離はたった数センチ。





心臓が止まりそうになった。






「無防備すぎ。俺だって男なの、わかってる?」






…わかってた、つもりだったのに。





多分私の中の玲央は、小2の可愛いままで止まってた。





じゃなきゃ今、こんなにドキドキしない。






「…ご、ごめん……痛っ」






玲央は私のおでこにデコピンを落とす。






「そんな顔すんな。分かればいーの」






そう言った玲央の顔は少しだけ大人に見えた。




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