こじらせ美女は王子様の夢を見る

玲央side






あれから、颯太がよく俺の部屋に





来るようになった。







「颯太くん、どう?美味しい?」



「ああ、超美味い」



「あー、よかった!」



「ミナちゃんって、料理も上手いんだね」



「全然まだまだだよ…もっとあるからいっぱい食べてね!…玲央、どうしたの?食べてる?」



「……ああ、」






何か張り切って料理してると思ったら颯太来るし、





俺には全然作ってくれねーくせに。





「あ、私バイト決まった!」



「は?いつ?」



「今日!面接行ってきたの」



「何の仕事?」



「カフェだよ!2人の大学からも近いからいっぱい来てね!」



「へぇ、いいじゃん!玲央、今度行こうよ」



「え?あ、おお」







バイトするとか聞いてねーし。





何で俺に言わなかったんだよ、





別にたいしたことじゃないけど、





そんなことにも、いちいち引っかかってしまう。







「ねえ、玲央」







颯太が帰った後、ソファに座ってた俺の隣にちょこん、と座ってくるミナ。







「ん?」




「さっきから何で怒ってんの?」




「は?怒ってねーし」




「怒ってんじゃん、私なんかした?」







俺にもわかんねーよ。





なんだ、これ。







「別に…何で言わなかったんだよ」




「何を?」




「バイトするって」




「え、別に言わなくてもいいかなって、これ以上迷惑もかけたくないし」




「だからって……はぁ、迷惑じゃねーよ」




「え?」




「だから、お前のこと迷惑とか思ったことないって。むしろ…」






"もっと頼れ"





その言葉を押し殺した。




ミナのこと迷惑だったはずなのに…







「むしろ?」




「……と、とにかく、そうゆうことは俺に全部言え。颯太と何があったとかそうゆうことも。」




「ん?何で颯太くんが出てくるの?」




「アドバイスしてやるよ、颯太のことは俺がよく知ってる」




「え!ほんと!?」




「ああ、だから何でも言えよ」




「うん!なんだ、玲央私と颯太くんのこと反対なのかなって思ってたのに」




「何で俺が反対すんだよ」




「だって、私と颯太くんが一緒にいる時、機嫌悪い気するし」



「…別に、颯太にお前みたいな女はもったいねーなって考えてたんだよ」




「な、ひど!!!」




「まあそりゃ、あんなイケメン私には…」そんなことを言いながらブツブツ呟くミナ。






これでいいだろ。





「んー、玲央〜」




「…ちょ、バカ、離れろ」






ミナは俺に甘えるように抱きつく。






「あんたまじで最高の友達だわ!」




「…んだよ、気持ちわりいな」







これで





いいんだ。






友達で。





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