【Guilty secret】
「先輩はデートですか?」
「うん。彼は飲み物買いに行ってる」
美月とこうして話をするのも久々だった。彼女とは学部もサークルも同じだが、夏に美月がサークルを引退してからは顔を合わせる機会が少なくなった。
「美月先輩、プロポーズされたって話本当ですか? 噂で聞きました」
「芽依ちゃんにまで伝わってたの? うん、本当だよ」
「わぁっ! おめでとうございます! 大学生でプロポーズされるって凄いです!」
「ありがとう。付き合って5年になるし、彼は社会人だからね」
美月の彼氏の噂も耳にしたことがある。メンズ雑誌の読者モデル経験もある年上の社会人。
彼氏の出身大学の啓徳《けいとく》大学では4年連続ミスター啓徳となり、彼のミスターコンテスト四連覇は伝説として語り継がれている。
「結婚式はいつですか?」
「来年の秋の予定。ドレスの試着も始めてるんだけどね、ドレス着るにはちょっと痩せないとなぁ……」
「先輩は細いからそのままで大丈夫です。絶対世界一綺麗な花嫁さんになりますよ!」
「もう。芽依ちゃんは褒め上手だねぇ。……彼が来たから。またね」
二人分の飲み物を持つ恋人の姿を見つけた美月がまた芽依に手を振る。芽依も笑顔で美月に手を振り返した。
『大学の先輩?』
「そうです。可愛い人でしょう? 卒業後に彼氏さんと結婚するんですよ。美月先輩が奥さんになるなんて、彼氏さんが羨ましい」
『ははっ。結婚が羨ましいんじゃなくて、先輩と結婚できる彼氏が羨ましいんだね』
「はい。私が本屋のバイトを始めたのも美月先輩が本屋でバイトしているからで……。私の憧れの人なんです」
美月は綺麗で可愛くていつも笑顔で、人に囲まれている。あんな人になれたら、自分も人生の何かが違っていたのかもしれない。
生まれてからずっと人生が愛に溢れていた美月と自分では最初からスタートラインが違うと芽依は諦めていた。
美月みたいになれたら良かったのにと思いながら、彼女は飲み物購入の列に並んだ。
「うん。彼は飲み物買いに行ってる」
美月とこうして話をするのも久々だった。彼女とは学部もサークルも同じだが、夏に美月がサークルを引退してからは顔を合わせる機会が少なくなった。
「美月先輩、プロポーズされたって話本当ですか? 噂で聞きました」
「芽依ちゃんにまで伝わってたの? うん、本当だよ」
「わぁっ! おめでとうございます! 大学生でプロポーズされるって凄いです!」
「ありがとう。付き合って5年になるし、彼は社会人だからね」
美月の彼氏の噂も耳にしたことがある。メンズ雑誌の読者モデル経験もある年上の社会人。
彼氏の出身大学の啓徳《けいとく》大学では4年連続ミスター啓徳となり、彼のミスターコンテスト四連覇は伝説として語り継がれている。
「結婚式はいつですか?」
「来年の秋の予定。ドレスの試着も始めてるんだけどね、ドレス着るにはちょっと痩せないとなぁ……」
「先輩は細いからそのままで大丈夫です。絶対世界一綺麗な花嫁さんになりますよ!」
「もう。芽依ちゃんは褒め上手だねぇ。……彼が来たから。またね」
二人分の飲み物を持つ恋人の姿を見つけた美月がまた芽依に手を振る。芽依も笑顔で美月に手を振り返した。
『大学の先輩?』
「そうです。可愛い人でしょう? 卒業後に彼氏さんと結婚するんですよ。美月先輩が奥さんになるなんて、彼氏さんが羨ましい」
『ははっ。結婚が羨ましいんじゃなくて、先輩と結婚できる彼氏が羨ましいんだね』
「はい。私が本屋のバイトを始めたのも美月先輩が本屋でバイトしているからで……。私の憧れの人なんです」
美月は綺麗で可愛くていつも笑顔で、人に囲まれている。あんな人になれたら、自分も人生の何かが違っていたのかもしれない。
生まれてからずっと人生が愛に溢れていた美月と自分では最初からスタートラインが違うと芽依は諦めていた。
美月みたいになれたら良かったのにと思いながら、彼女は飲み物購入の列に並んだ。