【Guilty secret】
31.最初で最後の
勤務を終えた芽依は着替えを済ませてヒグマ書店を出た。廊下で小池とすれ違ったが、挨拶もそこそこに出て来てしまった。
大きめのショルダーバッグに泊まり用の荷物は詰めて来た。
ロング丈の小花柄のワンピースにデニムジャケットを羽織り、仕事用のスニーカーから洒落たショートブーツに履き替えた。
苦手なメイクも普段より念入りに、ミディアムにカットされた髪も毛先だけ巻いてきた。
いつもと違う雰囲気の装いでそわそわと退勤する芽依を、小池は不思議に思ったかもしれない。
携帯に赤木から着信が入る。三軒茶屋の街を歩きながら電話に出ると、彼が今いる場所をわかりやすく教えてくれた。
赤木が指定した場所まで歩く。運転席の窓から顔を出した赤木が手招きしていた。
30分前に職場で顔を見たばかりの赤木と改めてプライベートで顔を合わせるのは、なんだか照れ臭い。
助手席に座った芽依は赤木に抱き付いた。拒絶せず迎え入れた彼の手が優しく芽依を抱き留める。
『こら。離れないと運転できない』
「だって嬉しくて……」
顔を上げた芽依の額に赤木はキスを落とす。一気に赤面する芽依から離れた彼は平然とハンドルを握った。
『シートベルトして』
「あっ! はいっ」
額へのキスで放心していた芽依は赤木に言われてやっとシートベルトを装着した。彼女は額を撫でてまだ顔を赤くしている。
「赤木さんからデートに誘ってくれるとは思いませんでした」
『デートじゃなくて食事とドライブ』
「それをデートって言いませんか?」
芽依は上機嫌だった。赤木と一緒にいられるだけで彼女はこの上なく幸せなのだ。
それをわかっているから、彼は……。
大きめのショルダーバッグに泊まり用の荷物は詰めて来た。
ロング丈の小花柄のワンピースにデニムジャケットを羽織り、仕事用のスニーカーから洒落たショートブーツに履き替えた。
苦手なメイクも普段より念入りに、ミディアムにカットされた髪も毛先だけ巻いてきた。
いつもと違う雰囲気の装いでそわそわと退勤する芽依を、小池は不思議に思ったかもしれない。
携帯に赤木から着信が入る。三軒茶屋の街を歩きながら電話に出ると、彼が今いる場所をわかりやすく教えてくれた。
赤木が指定した場所まで歩く。運転席の窓から顔を出した赤木が手招きしていた。
30分前に職場で顔を見たばかりの赤木と改めてプライベートで顔を合わせるのは、なんだか照れ臭い。
助手席に座った芽依は赤木に抱き付いた。拒絶せず迎え入れた彼の手が優しく芽依を抱き留める。
『こら。離れないと運転できない』
「だって嬉しくて……」
顔を上げた芽依の額に赤木はキスを落とす。一気に赤面する芽依から離れた彼は平然とハンドルを握った。
『シートベルトして』
「あっ! はいっ」
額へのキスで放心していた芽依は赤木に言われてやっとシートベルトを装着した。彼女は額を撫でてまだ顔を赤くしている。
「赤木さんからデートに誘ってくれるとは思いませんでした」
『デートじゃなくて食事とドライブ』
「それをデートって言いませんか?」
芽依は上機嫌だった。赤木と一緒にいられるだけで彼女はこの上なく幸せなのだ。
それをわかっているから、彼は……。