【Guilty secret】
店内清掃をしていた同僚の小池がレジに戻ってきた。本を持った客もレジに足を向けている。
何事もなかったように笑顔を作って、芽依は接客に戻った。
その後は品出しや在庫管理でレジ業務を離れる時間が長く続いた。レジに戻るたびに取り置きの棚を確認するが、他の取り置きの品物は少しずつ引き取られていくのに最後まで残った美術書は寂しそうに持ち主の迎えを待っていた。
17時半過ぎに待ち望んだ彼がヒグマ書店に現れた。小池と並んでレジに立っていた芽依は、店内に入ってきた赤木奏を見つけて頬を染める。
手を振りたくても仕事中だ。視線だけを赤木に向けて芽依は目の前の客の会計作業をこなした。
『いらっしゃいませ』
赤木をにこやかに迎えたのは小池だ。赤木は予約票を芽依ではなく小池に渡した。予約票を受け取った小池が取り置きの棚に向かう間、レジでは芽依と赤木の二人きりになった。
「いつ来るのかずっとドキドキしていました」
『色々やることがあって遅くなった。親には今日泊まりってちゃんと言った?』
「友達の家に泊まるって言ってあります。泊まる用意もバッチリです」
誰にも聞かれないよう小声で会話を交わす。今日の赤木はネイビーの薄手のニットを着ていた。スーツ姿もラフな私服も、どちらの彼も芽依の瞳には素敵に映る。
大きな美術書を抱えた小池が戻ってきて内緒話はここまで。会計を済ませた彼が店内を出ていく後ろ姿に寂しくなったが、あと20分で芽依の勤務も終わる。
この後は赤木とのデートが待っている。明日まで赤木と一緒にいられる。
これからどこに行くのか、どんな会話をしてどんな料理を食べようか、芽依は楽しみで仕方なかった。
何事もなかったように笑顔を作って、芽依は接客に戻った。
その後は品出しや在庫管理でレジ業務を離れる時間が長く続いた。レジに戻るたびに取り置きの棚を確認するが、他の取り置きの品物は少しずつ引き取られていくのに最後まで残った美術書は寂しそうに持ち主の迎えを待っていた。
17時半過ぎに待ち望んだ彼がヒグマ書店に現れた。小池と並んでレジに立っていた芽依は、店内に入ってきた赤木奏を見つけて頬を染める。
手を振りたくても仕事中だ。視線だけを赤木に向けて芽依は目の前の客の会計作業をこなした。
『いらっしゃいませ』
赤木をにこやかに迎えたのは小池だ。赤木は予約票を芽依ではなく小池に渡した。予約票を受け取った小池が取り置きの棚に向かう間、レジでは芽依と赤木の二人きりになった。
「いつ来るのかずっとドキドキしていました」
『色々やることがあって遅くなった。親には今日泊まりってちゃんと言った?』
「友達の家に泊まるって言ってあります。泊まる用意もバッチリです」
誰にも聞かれないよう小声で会話を交わす。今日の赤木はネイビーの薄手のニットを着ていた。スーツ姿もラフな私服も、どちらの彼も芽依の瞳には素敵に映る。
大きな美術書を抱えた小池が戻ってきて内緒話はここまで。会計を済ませた彼が店内を出ていく後ろ姿に寂しくなったが、あと20分で芽依の勤務も終わる。
この後は赤木とのデートが待っている。明日まで赤木と一緒にいられる。
これからどこに行くのか、どんな会話をしてどんな料理を食べようか、芽依は楽しみで仕方なかった。