気まぐれヤンキーくんのあまのじゃくな溺愛。
「…っ」

「兄貴だって『亮を守れてよかった』って言った。
そんな兄貴も俺も許せなかった。俺を庇わずに俺に怪我負わせればよかったのに…っ、何で兄貴は昔から俺のことばっかりなんだよっ…‼︎」

いつもとは違う泣き立てる鳳君に私は胸がギュウッと締め付けられるように痛んだ。
鳳君はお兄さんのことを大切に思ってる。
けどそれはきっとお兄さんも同じだ。
でも、それが互いに伝え合うことが出来なかった。

「だから俺はこの学校でトップになる」
「!」
「【Viper】の奴ら全員ぶっ潰して、トップになって、今度は俺が兄貴や皆を、守るんだ。絶対に」

鳳君の逸れない真っ直ぐ目に私の胸はキュウッと強く響いた。
この想いは、絶対にお兄さんや【last】の皆に伝えなきゃダメだ。

「鳳君の気持ち聞けてよかった。ありがとう」
「……何か話せて少しスッキリした」
「え……?」
「不本意だけど、俺の方こそありがと」
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