気まぐれヤンキーくんのあまのじゃくな溺愛。
目で追って見てたのに、天翼さんの死角にいる【Viper】の1人に気づけなかった。

「目は後ろにはないもんね?【last】の総長さぁん?」
「!!」

天翼さん…!!

ーバゴン!!

力強くパイプで叩かれた音かと思って目を閉じたけど、次に目を開けた時は思わぬ方向へ。
さっきまで隣にいてくれた亮くんが天翼さんの隣にいた。

「亮…」
「はぁ…っ、危ねぇ。ギリセーフだな、兄貴?」
「亮、お前顔が…っ」
「元々からこの顔は好きじゃねぇよ。母さんに似てるってことは兄貴にも似てるっつーこと。お前に似るとか無理」
「亮っ…お兄ちゃん悲しいぞ!?」
「ははっ、ごめんって。けど俺今ちょー元気」
「亮、」
「守るって決めたんだ。【last】の皆も兄貴も」
「お前…」
「どっちにしろ兄貴怪我してんだから無理したら悪化するだろ!?さっき言っただろ!『自分の心配しろ』って」
「あぁ…言ってたな」
「聞き流すな!怪我してんのはお互い同じだし後で病院行くから。
今はこいつら潰すのが優先。悪党共にはさっさと決着つけて散って貰うから」
「お前いけんのか?」
「いけるっつーの。俺今この学校のNo.2だし?そんでNo.1取るし?」
「ははっ、流石俺の弟だ。じゃ、遠慮なく頼んだぞ」

そう言って、お互いに目を合わせた亮君と天翼さんは、まだ懲りていない【Viper】のメンバーを次々と倒していく。
皆はもう目で追うしかなくて、気づいた時には、
私に怒りを露わにしていた幹部の人や、【Viper】の総長、そして加勢していた人達も倒れ込んでいた。
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