ヤンキーを名乗る三人は、トップになりたい!
 「さぁ、結果発表となりました!! 今年は本当にレベルが高かったですねぇ、みんな感動していました!」

 このトップコンテストでは、生徒が投票し、一番多く票を獲得した人がトップになれる。
 私はトップコンテストに応募している三人のサポーターだから、投票はできない。
 十人中一人。誰になるか想像つかないけれど、トップは三人の誰かだといいなと思う。
 ステージで応募者が並んでいる中、私は黒崎俊の隣で立っている。
 ステージって結構、緊張する……。

 「では、発表します!」

 私は両手を組んで、祈る。
 お願いします、どうか……!

 「映えあるトップはーー黒崎俊さんです!」

 「黒崎俊っ!!」

 私はステージで、黒崎俊のことを強く抱きしめた。

 「おめでとう、おめでとう。良かったね……」

 「……サンキュー」

 「えっ!? あの二人、どういう関係!?」

 「やば、黒崎さんってあんな顔するんだ……!」

 「あの子、三年B組の転校生だよ!!」

 他の人の声が聞こえないくらい、黒崎俊のことしか考えられない。 
 黒崎俊が、トップになれたんだ……。夢みたいで、でも現実で、言葉に表せないほど嬉しい。

 「そして審査員特別賞はーー赤塚かなでさんと白柳蒼空さんです!」

 えっ、審査員特別賞!?
 みんながみんな驚いているけれど、多分一番、私が驚いていると思う。
 じゃあ、三人とも全員、賞をとることができたんだ……!

 「かなで、蒼空、おめでとう!」

 「ありがと、天野」

 「やっぱり俊には敵わないなぁ。色んな意味で、トップを奪われたよ」

 二人は悲しそうに、でも嬉しそうな笑顔を浮かべて私にそう言った。
 ……ありがとう。かなで、蒼空。

 私は再び黒崎俊のもとへ駆ける。

 「私、黒崎俊のことが好きだよ」

 「知ってる。でも俺は、由薇のことが、大好きだ」

 「……それも知ってる!」

 今度は黒崎俊が私のことを抱きしめてくれた。
 もう少し力を入れたら折れてしまいそうな、強い力。
 だけど私はぬくもりと優しさを感じられていた。
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