ヤンキーを名乗る三人は、トップになりたい!
 「ねぇ、あの人だよ」

 「わぁっ、東院唯一の女子高校生!?」

 「結構可愛くない?」

 転校して二日目。学校に登校してきたのだけれど、何だか昨日よりも視線を感じる気がする。
 だけどみんな私を見て目を輝かせているから、どういうことなのか分からない。
 もしかしてあれかな。さっき道に迷ってるおばあちゃんを助けたから……?

 「あっ、由薇ちゃん! おはよう」

 杏ちゃんが小走りで私のもとへ駆けてくる。

 「杏ちゃんおはよう。あのね、さっきからみんなに見られてる気がするんだけど、どうしてか分かる?」

 そう言うと、杏ちゃんは驚いた顔で私を見た。

 「由薇ちゃん、自覚してなかったの!? 本当に東院唯一の女子高校生?」

 東院唯一の女子高校生。
 さっき通りかかった子も、そんなことを言っていた気がする。

 「由薇ちゃん、昨日黒崎さんに喧嘩売ったでしょ?」

 ーーあっ、思い出した。
 確か私、黒崎俊にムカついたから、喧嘩したんだっけ……。
 だけどあれは私が悪いわけではないし、私のせいではないと思う。
 あの後黒崎俊たちは早退していたから、顔を合わせずに済んだのだけど……。

 「それでね、学園中に広まっちゃって。天野由薇は東院唯一の女子高校生ってあだ名がついたんだよ」

 「私が? どうして?」

 「今まで、黒崎さんたちに歯向かった子はいなかったの。由薇ちゃんが初めてなんだよ、喧嘩したのは。特に黒崎さんはね」

 そんなに黒崎俊や、あの人たちは強かったのか。
 確かに見ていてヤンキーだとは思ったけれど、私が想像していたヤンキーとは違っていた気がして……。
 やっぱり思い出すだけで怒りが湧いてくる。

 「でも気をつけたほうがいいよ、由薇ちゃん」

 「ありがとう。でも平気だよ」

 「由薇ちゃんはまだ分からないかもしれないけど、きっと黒崎さんたちを敵に回してしまった。これから……恐ろしいことが待ってるかも」

 杏ちゃんが恐ろしい幽霊のような青ざめた顔で、そう言った。
 私はその杏ちゃんの頭をぽんぽん、と撫でる。

 「心配してくれてありがとう。でも私は東院唯一の女子高校生だもん。負けないからっ!」

 そう。あの“偽ヤンキー”のような、黒崎俊たちには負けない……!
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